最近のキーワードとして、プロダクトの持つ機能だけでなく、そのプロモーション手法や付加価値などが、注目されてきているが、その中でも、消費者に「共感」する製品やプロモーションが特に最近重要視されている。
7月31日、大日本印刷<7912>は、消費者に特化した価値分析を行い革新的なサービスを開発する「サービスデザイン」の視点から、企業の新たなプロダクト(製品)を創出する手法を開発したと発表した。この新手法は、プロダクトを取り巻くサービス全体を包括的に捉え、消費者が実際に使用する状況を想定しながら、製品化するという仕組み。
同社は、昨今新規事業を創出するために、企業独自のノウハウや知見などの資産を有効に活用し、これまでにない製品コンセプトや価値を持つプロダクトを創出したいという企業の需要が背景にあるとしている。同社が発表した新手法は、6つのステップから成り立ち、「アイデア発想」「ショートストーリー作成」「価値体験の発掘」「プロダクトの新たな意味づけ」「体験価値の精緻化とプロダクトの具現化」「プロダクトコンセプトメイキング」から構成されている。
このステップは、消費者が抱いている既存の製品や取り巻く生活環境の中でのモヤモヤ感など、同社が独自に収集したデータに基づき、アイデアを発想する。そのアイデアを組み合わせ、消費者の立場に立ったショートストーリーを作り上げることで、消費者の側のモヤモヤ感を払しょくする新たなプロダクトを創出する。このステップで重要なのは、プロダクトを創出する前段階で、体験価値を精緻化することにあるという。プロダクトの体験を消費者の感情、つまり「共感」できるものに仕上げることが重要としている。
確かにこの新しい手法は、昨今の消費者動向である「共感」に注目した新しい手法であることは間違いない。机上のデータだけでなく、消費者からどのように共感を得られるがポイントであり、プロダクトの持つ価値や生み出す新しい体験が、具体的にモヤモヤ感を払しょくし生活環境を変えるものなければならない。同社は、この新たな手法を多様なプロダクトに適応させ、創出したプロダクトコンセプトを市場に提供するまでのプロセスの体系化を目指し、2016年度までに20社との取り組みを推進し10億円の売上を目指すとしている。この新手法に基づいたプロダクトが企業の新規事業を創出し、消費者の生活環境を変えるものとなることに期待したい。(編集担当:久保田雄城)