今週、8月第4週(18~22日)は5日間の取引。お盆休みも終わって日本経済は再起動するが、エンジンがかかるのに時間がかかる人もいそうだ。東京市場も決算発表シーズンが完全に終了し、経済指標の発表も少なく政界は夏休み中で内閣改造人事が最大の関心事。残暑まだまだ厳しく膠着感が強くアンニュイなムードが漂いそうだ。
世界の主要国の株式市場は、21日はフィリピンが「ニノイ・アキノ・デー」の祝日で休場。1983年に反マルコス体制の政治家アキノ氏がマニラ空港で暗殺され、1986年のフィリピン革命(エドゥサ革命/二月革命)の遠因になった事件が起きた日。
国内の経済指標は、20日の貿易統計が為替レートへの影響もあるので最重要。18日は6月の毎月勤労統計確報値、19日は6月の景気動向指数(一致指数)確報値、7月の工作機械受注確報値、全国百貨店売上高、20日は7月の貿易統計、6月の全産業活動指数、7月の全国コンビニ売上高、訪日外国人客数、21日は7月の全国スーパー売上高、食品スーパー売上高、8月のマークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、22日は7月の電力需要実績が、それぞれ発表される。
主要企業の決算発表は閑散として夏休み状態。18日はドンキホーテHD<7532>、総医研HD<2385>、19日はあいHD<3076>、21日はタカショー<7590>が発表する。なお、18日にキリン堂HD<3194>が東証1部に新規上場するが、これはドラッグストアのキリン堂<2660>(8月13日付で上場廃止)の純粋持株会社設立に伴うもので公募増資も行われない。次回の新規IPOは9月11日に東証マザーズに上場するジャパンインベストメントアドバイザー<7172>の予定。
海外の経済指標は、21日にこれまで東京市場に数々のドラマをもたらしてくれた中国のHSBC製造業PMIが発表されるが、最近の中国の経済指標からはネガティブサプライズが出てこなくなり「もう怖くない」か? 21日はアメリカで経済指標の発表ラッシュの日でもある。週前半のアメリカの住宅関連指標も「好調なアメリカ経済の急所は住宅」と言われているのでおろそかにできない。
18日は中国の7月の主要70都市の新築住宅価格動向、ユーロ圏の6月の貿易収支、アメリカの8月のNAHB住宅市場指数、19日はユーロ圏の6月の経常収支、英国の7月の消費者物価指数(CPI)、アメリカの7月の消費者物価指数(CPI)、住宅着工件数、建設許可件数、21日は中国の8月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、フランス、ドイツ、ユーロ圏の8月の購買担当者景気指数(PMI)速報値、英国の7月の小売売上高、アメリカの8月のマークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、7月の中古住宅販売件数、CB景気先行指標総合指数、北米半導体製造装置BBレシオが、それぞれ発表される。
20日には7月29~30日に開催されたFOMCの議事録が発表されるが、何と言っても来週のハイライトは、21~23日にアメリカ・ワイオミング州ジャクソンホールで開催される「金融経済シンポジウム」。イエレンFRB議長が出席し、22日に「労働市場」についての講演を行う予定になっている。2010年にはバーナンキ前FRB議長が「QE2」を予告し、「避暑地の出来事」が世界のマーケットを揺るがしたこともあった。
アメリカ主要企業の決算は、18日はアーバンアウトフィッターズ、19日はホーム・デポ、TJX、20日はターゲット、ヒューレット・パッカード、ロウズ、21日はダラー・ツリー、ギャップ、セールスフォース・ドットコムが発表する予定になっている。
8月8日の454円安は、やはり「真夏の蜃気楼」だった。「株式投資の17のルール」で知られるローゼンバーグ・キャピタルマネジメント(RCM)の創業者クロード・N・ローゼンバーグは、「株式市場は常に行き過ぎる」と言っている。下げ相場では、ファンダメンタルズ的にもテクニカル的にも考えられうる限界の水準を越えて下落することがあるという意味。下落幅は昨年5月23日の1143円安の半分以下でしかないのに、「カタストロフ(大破滅)が来た!」などと、どこかの〃脅迫本〃の表紙のような騒ぎ方は大人げないし、大事な言葉を安売りしてはいけない。