リフォーム融資優遇で中古住宅市場は活性化するか

2014年08月21日 12:32

画像・リフォーム融資優遇で中古住宅市場は活性化するか

最近では、リノベーション住宅が注目され、古い住宅であってもきちんと手をいれれば魅力的な住居に生まれ変わるという理解が進みつつある。しかし、融資制度や税制の面ではまだまだ改善の余地はある。

 総務省の発表では、国内の住宅総数に占める空き家の割合が2013年10月時点で過去最高の13.5%になった。人口減少が深刻な地方を中心に増え、戸数も最多の820万戸にのぼった。中古住宅の活用が進まないうえ、空き家を取り壊すと税負担が重くなる制度も空き家が増える原因となっている。

 空き家が増えるのは活用も撤去も進まないからだ。国土交通省によると、新築と中古を合わせた住宅流通全体のなかで中古の割合は13%強。9割強の米国や8割を超える英国よりはるかに低い。日本では「住宅をリフォームして長持ちさせるという意識が希薄だった」(国交省)。中古住宅は価値が低いとされ、不動産業者も積極的に取り扱ってこなかった。

 そこで、政府は中古住宅を購入しやすくするため、低利融資と税制の優遇措置を拡大する方針だ。中古住宅を取得した際、個人には内装などの改修費を低利融資する新制度をつくる。耐震工事などを施せば住宅事業者も税金を減免する方向で検討する。政府が検討するのは、住宅金融支援機構が民間金融機関と組んで貸し出す35年の長期住宅ローン「フラット35」の拡充だ。これまでも新築だけでなく中古住宅の購入時に利用できたが、来年度には中古物件の取得時の改修費用にも充てられるようにする。

 新制度では個人が中古住宅を買ってリフォームする場合、購入費と改修費をフラット35で一括借り入れできるようにする。従来の制度では中古物件の取得にフラット35を利用すると、改修費用は別に民間の金融機関から調達する必要があった。中古物件の購入者は2重に債務を抱えることになる。一般的に増改築のローンは担保を設定しない代わりに、金利が高く、借入期間も短い。つまり、返済負担が重くなり、ファイナンスの面からも敬遠される傾向があった。

 政府は中古住宅とリフォーム市場の拡大を成長戦略の一つと位置づけており、20年までに市場規模を合計20兆円と10年比で倍増する目標を掲げる。リフォーム融資の優遇は1つの方法ではある。しかし、フラット35の拡充がどれほどの効果をもたらすのかは疑問だ。歴史的な低金利の現在、長期固定金利の同制度は民間金融機関の変動金利ローンと比較すると、あまりにも金利差が大きくなっている。中古住宅市場の活性化には、金融機関を含め民間企業の積極的な参入が不可欠であると筆者は考える。(編集担当:久保田雄城)