日本人の「コメ離れ」が顕著だ。総務省の家計調査では2011年、2人以上の世帯のパン購入額が初めて米を上回った。農林水産省のデータでは、1965年に1人あたり115キロ食べていたのが、2012年には56キロと半分以下に。背景には「食の多様化」がある。主食はコメだけ、という時代は終わり、パスタや麺類など、日本人の食卓はバラエティ豊かになった。コメの需要が減り続けているため、価格は下落の一途をたどり、零細農家が多くを占めるコメ農業は先細りだ。
1960年代、政府は農家のコメを全量買い取りする旧食糧管理制度を始めた。農業技術の向上も相まって、コメの供給量は増え続ける。一方で、食の欧米化が進み、国が買い取ったコメは大量に余るようになった。在庫を抱えた政府は70年代、今にいたる減反政策を始めることとなる。政府が予測した以上に、コメの供給量は需要を上回ってきたのだ。
なぜ日本人はコメを食べないのか。全国農業協同組合中央会(JA全中)が、20~60歳代の男女1000人を対象に、ウェブで「朝食に関する意識調査」を行ったところ、朝食に最もよく食べるものは「ごはん(お米)」が39%、「パン」が50%で、やはりパン派が多かった(調査期間は6月6日~9日)。一方で、「朝食に食べると元気が出ると思う主食」については「ごはん(お米)」が約7割を占めている。栄養バランスなどのメリットがあるにも関わらず、朝は「ごはん派」は「パン派」と比べて10ポイント以上少ないのだ。
同調査では、最もよく食べている朝食の主食について、その理由を尋ねている。「パン」は9割が「手軽に食べられるから」、「ごはん」は6割が「腹持ちがいいから」で、パンの「手軽さ」が受けていることが分かる。忙しい現代人にとって、コメは「研ぐ、炊く、茶碗に盛る」などの手間がかかるために、避けられている部分もあるだろう。調査では、「パン派」よりも「ごはん派」の方が、家族と一緒に食べている人が多いことも分かった。単身世帯は増加を続けており、食の個人化も進んでいる。「家族みんなでご飯」という時代はもう、やってこないのかもしれない。(編集担当:北条かや)