住宅ローンの固定金利の低水準化が止まらない。大手銀行が相次いで、過去最低水準であった住宅ローンの固定金利を、さらに引き下げる動きをみせている。これは、固定金利の目安となる長期国債の利回りが1年4ヶ月ぶりに低水準で推移していることが要因とみられている。
27日、三菱東京UFJ銀行は9月から適用する住宅ローンの一部を引き下げると発表。10年固定型で、最も信用度の高い人に適用される最優遇金利を8月の年1.3%から年1.2%に引き下げるとしている。これは、三菱東京UFJ銀行としてはこれまでで最も低い金利になる。金利引き下げの背景には、目安となる長期国債の利回りの低水準化がある。たとえば新発10年物国債の利回りは今月、1年4ヶ月ぶりに0.5%を割り込んだ。こうした影響が固定金利の低水準化に拍車をかけているようだ。
また三菱東京UFJ銀行以外にも、みずほ銀行が10年固定型の最優遇金利を、これまでの年1.3%から年1.2%へと引き下げる方針だ。こちらも同銀行としては最も低い金利となる。さらには、三井住友信託銀行も27日に、10固定型の金利を0.05%引き下げて、同銀行として最も低い金利となる年1.0%にするとしている。そのほか、りそな銀行も1.4%からの引き下げを検討しているという。
またこうした相次ぐ金利の低水準化には、4月に実施された消費税増税後、住宅を購入する人の数が減り、各銀行とも顧客獲得のために金利引き下げ競争を展開しているという見方もある。また今の利用者は不透明な景気の先行きを懸念して、少しでも安い金利で借りられる銀行を探そうとする傾向にある。こうしたことも、金利の低水準化に影響を及ぼしているようだ。
住宅ローンは各銀行にとって住宅ローンは融資商品の主力であり、その金利を引き下げることは収益の減少につながる可能性があるものの、しかし今は目の前の利益よりも長期的に取引を続けられる新規の顧客開拓に力を注いでいるようだ。この金利の低水準がどこまで続くかはわからないが、しばらくはこの傾向が続くものとみられる。(編集担当:滝川幸平)