行け行けどんどん的な勇ましい議論ばかりと懸念

2014年09月10日 06:59

 野田佳彦前総理は、安倍晋三総理の下で集団的自衛権行使容認の方向性の閣議決定、これに基づく安保法制の整備、PKO活動の見直しなど「昨今、行け行けどんどん的な勇ましい議論ばかりが目立つ」と懸念を示した。

 野田前総理は「国のリーダーの役割は起こるかもしれない危機の予防、予知、回避あるいは被害の軽減を図る『危機の事前対策』を冷静に行うこと」と注意を促す。

 野田前総理はシリア情勢の悪化をふまえ、ゴラン高原からPKO活動中の部隊を撤収させる閣議決定をし、撤収させた時の総理時代の決断を例に「もし、自衛隊の撤収が遅れ、拘束されるような事態が発生したら、その解放は困難をきわめた。人命にかかわるようなもっと深刻な事態も起こりえた。そう考えると背筋が寒くなる。政権末期に行ったギリギリの政治決断でしたが、正しい時期に正しい判断をしたと自負している」という。

 野田前総理は日本のPKO撤退後、現地のシリアで内戦が激化し「昨年3月と5月にUNDOFの要員が武装勢力に拘束された。先月末からシリア政府軍と武装勢力の戦闘が激しさを増し、8月28日にはフィジーの隊員43人が武装勢力に拘束された。30日にはフィリピン部隊の拠点が襲撃され、同部隊は全員退避した」などと指摘し、「国のリーダーの役割は危機の事前対策を冷静に行うこと」と危機を招かない事前対策こそ最も求められていると強調する。(編集担当:森高龍二)