野田佳彦前総理はアベノミクスに懸念を示した。11月頃に第3四半期の実質GDPなどの速報値が公表されるが「その数値が芳しくないものであったら、アベノミクスへの期待は剥落し、その政策の本質が資産を有する投資家だけを豊かにし、他の者を置き去りにするものだとわかるでしょう」と安倍政権が大企業と投資家など富裕層を優遇するものでしかなかったという結果になるとしている。
野田前総理はアベノミクスに期待された賃上げや失業率の改善について「バークレイズリサーチの調査によれば、第2四半期において実質賃金は対前年比マイナス3.2%となり、過去18四半期中、最大の下落となった」ことをあげ、「総理が経済団体に賃上げの要請をしている報道が盛んに行われたが、要は、その賃金引き上げが物価上昇分まで届いていないということ」と賃上げが所得を増やすレベルに至っていない厳しいレベルにとどまっているとした。
野田前総理は雇用についても「安倍政権下で増えたが、その多くは賃金と手当の低い『非正規』ばかりだ」として、数字上は、雇用は増えているものの、実態は非正規雇用を増やし、安定した雇用や所得格差の是正につながっていないことを懸念した。
また「責任ある立場にあった者が迂闊に相場観を語ってはいけないと思うが、私はまだ円安が進むと思う」とし「(円安が進んでも)輸出による力強い成長につながらないのではないか。むしろ、輸入燃料価格の上昇など国民生活への悪影響だけが目立つようになる」と、円安のよるメリットよりデメリットの方が大きくなるとの見方を示した。(編集担当:森高龍二)