九州電力川内原発の1号機、2号機の再稼働に向け、原子力規制委員会が基準に適合していると結論付けた審査書を正式決定したことに、社民党は「川内原発は地震対策も火山噴火対策も複合災害対策もプラント評価も避難対策も不十分で、薩摩川内市民の85%が再稼働に反対しているように住民理解も得られないままだ」として「再稼働などあり得ない」との談話を10日、発表した。
また「東京電力福島第一原発事故の発生から3年半が経過した今も事故は収束せず、13万人が避難生活を余儀なくされている。事故原因の究明も、放射能汚染水対策も、廃炉への道も見えず、コントロールもブロックもできていない中で、再稼働容認は断じて認められない」と訴えている。
談話の中で、社民党は「川内原発の耐震安全性の検討において、基準地震動を620ガルとしたことは過小評価であり、耐震安全性は全く保証されていない」とした。
また「川内原発に対する火山の噴火による大規模損壊の検討も不十分で、桜島の1万年余り前の噴火と同規模の大噴火の想定にとどまり、カルデラ巨大噴火の発生や火砕流の被害のリスクは十分考慮されていない」と懸念。
「仮に火砕流が原発を襲えば建屋は破壊され、放射性物質が広範囲に放出される恐れがある。川内原発の付近には2つの火山帯があり、噴火し、火砕流が流れ出さないとの保証はない。その時に住民はどのように、どこに避難するのかも明らかではない。カルデラ噴火の前兆をとらえるのは難しいとの意見もある。仮に前兆をとらえられたとしても、燃料の運び出しのための冷却に数年はかかるし、燃料をどこへどうやって運ぶのかも未定のままである。多くの火山学者が立地不適と指摘していることに耳を傾けるべき」と深刻な課題を置き去りにしたままだと原子力規制委員会の対応を批判した。
また、政府に対し原子力規制委員会の田中委員長が「基準を満たしているだけで、安全を保障するとは言っていない」と繰り返し言ったことをとりあげ「新規制基準に形式的に適合したとしても、安全性は全く担保されておらず、原発再稼働の理由とすることはできない」と原子力規制委員会の審査ですべての安全性が担保されたかのように再稼働の根拠にする政府の対応を強く批判した。(編集担当:森高龍二)