日本に未曾有の被害をもたらした東日本大震災。その被災地である岩手、宮城、福島の3県では、地震発生から4年目を迎えても未だ、多くの被災者が仮設住宅での生活を余儀なくされている。仮設住宅はあくまで応急住宅。当初は2年以内の居住を想定されていたところで、しかも住み慣れた地域集落と異なる地域で4年にも渡る不自由な生活を強いられているのだ。
被災地の県市町がそれぞれ復興に向けて復興公営住宅の供給に取組む中、宮城県石巻市も木造の復興公営住宅の建設に向けて本格的に動き出した。同市では、市所有の新市街地 新渡波西<しんわたのはにし>地区にある指定の街区(新渡波西A地区)において、復興公営住宅(公募型買取市営住宅)の事業者公募を行った。参加した民間事業者らは復興公営住宅の整備計画の提案を行い、その中からパナホーム株式会社を最優秀応募者に選定した。今後は、石巻市と同社で契約締結を経たあと、2015年1月着工、8月引渡しに向けて事業を進めていく。同事業では街区内全ての建物等を市が買取ることで、整備期間の短縮と被災者への早期供給を図る。
パナホームの提案では、戸建て住宅9棟と長屋2棟の建築計画のほか、街区の中心に住民交流のための「コミュニティー広場」を設置することや、建築資材に東北産の木材を使用すること、被災地の建設業者との協力体制により雇用促進にも貢献することなどが盛り込まれている。
一つ気掛かりなのは、国の集中復興期間が来年度で終了することだ。今年7月、被災県である青森、岩手、宮城、福島4県の知事らが合同で、2015年度までの期限付となっている東日本大震災の集中復興期間を延長し、十分に財源を確保するよう政府と自民党に求めた。成長戦略ももちろん重要だが、それはすべての国民が最低限の生活を送れていることが条件ではないだろうか。
我が家はどこよりも安全で、安心できる場所であるべきだ。震災から4 年も仮設住宅での生活を強いられている被災者の気持ちは計り知れない。(編集担当:藤原伊織)