東芝 個人向けPC事業を縮小し法人向けへのシフトを強化

2014年09月22日 08:19

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1994年から世界首位を7年間続けた東芝が、パソコン事業について、安定的な黒字確保を可能にするため、収益構造が不安定な個人向け(BtoC)分野のパソコン事業を縮小する

 ノートパソコンを世界で最初に発売し、1994年から世界首位を7年間続けた東芝<6502>が、パソコン事業について、安定的な黒字確保を可能にするため、収益構造が不安定な個人向け(BtoC)分野のパソコン事業を縮小する。そして、現在も継続的に黒字を計上している法人向け事業へのシフトを強化することを2014年9月18日に発表した。

 東芝の場合、パソコン事業からの完全撤退ではないものの個人消費者は、07年の日立製作所<6501>、10年のシャープ<6753>、11年のNEC<6701>、そして、つい最近のソニー<6758>のパソコン事業からの撤退など、一部でブランド名のみは残るが純国産メーカーのパソコンの選択肢は狭まるばかりである。

 同社は、個人向け市場からの撤退につき、不採算の新興国からの撤退など世界32カ所の販売拠点を13カ所にするなどし、製造部門を除き国内外でパソコン事業に関わる従業員総数の約20%強に相当する約900名の人員削減を今年度中に実施する。固定費については、2013年度比で200億円以上の削減を図る。

 その上で、法人需要に適したワークステーションからタブレットまで幅広い商品ラインアップの拡充とともに、グローバル市場での法人販売チャネルの拡大、幅広い法人顧客を持つ東芝グループの事業基盤と連携した企業向けクライアントソリューションの強化などで新規事業・顧客の開拓を進める方針だ。

 また、今後一層の拡大が見込まれるIoT(Internet of Things)の分野でも、同社はパソコンの開発で長年培ったBIOS、セキュリティ、無線実装、高密度実装などの差異化技術を活用することで、社会インフラやクラウド、ヘルスケア、家電などの領域に適用した製品・サービスの提供を目指す。そして、東芝グループ内で保有するさまざまな事業領域の技術と連携させて積極的に進め、パソコンとしてのハードウェアのみに依存しない事業モデルを構築するなどの施策を打つ。そして、2016年度中に法人向け(BtoB)分野の売上構成比50%以上にする計画である。

 同社のパソコン事業は、今年度第1四半期(4-6月)において黒字を達成している。しかし、パソコン事業を取り巻く環境は、今後もスマートフォンやタブレットとの競合によってますます厳しくなることが予想されることから、いち早くBtoC分野の縮小に踏み切るという早い経営判断が今回の縮小計画である。そのため、BtoC分野からの撤退ではなく事業縮小で済んだことは、国産パソコン愛用者は少しは救われたのではないだろうか。この早い経営判断が良い結果となることを期待したいものである。(編集担当:阪木朱玲)