カゴメ株式会社は三井物産株式会社と合弁で、9月22日にマレーシア・クアラルンプールに本拠を置く調味料製造販売会社、ロンソン・フード・プロダクト社(Longson Food Products Sdv.Bhd.)と業務用ユーザー向けにトマト調味料の生産・販売を行う「カゴメ・ロンソン(Kagome Longson Sdv.Bhd.)をこの10月に設立。マレーシアに進出することを発表した。
世界のイスラム教人口は約18億人と言われ、アセアン地域においては、総人口6億人のうち約47%、およそ2億8000万人のイスラム教徒が存在すると言われている。このため、同地域の食品市場における食品メーカーにとってイスラム教の戒律に忠実な「ハラル(Halal)認証」は必要不可欠だ。カゴメグループでは、欧米の子会社で、ハラル認証を一部商品において取得してきた。が、今回の合弁事業は、国を挙げてハラル認証制度に取組んでいるマレーシアに新会社を設立し、ハラル対応を強化する。マレーシアでは人口の約60%がイスラム教徒だとされている。マレーシアのハラル認証機関は「JAKIM(ジャキム)」という政府管掌の組織である。
共同出資する現地法人のロンソン社は、マレーシア国内にてチリソース、マヨネーズなどを製造販売し、年商4億円の実績がある。同社工場はマレーシアのハラル認証済み施設が集結するハラル工業団地内に立地する。カゴメは連携してハラル認証に関するロンソン社のノウハウを活用、認証取得を進めていく。
新会社の資本金は約6400万円で、ロンソン社が35%、カゴメと三井物産の共同出資会社が65%を出資する。その共同出資会社はカゴメ66.7%、三井物産33.3%をそれぞれ出資する。
アセアン市場においては、食生活の欧米化や大手外食チェーンの拡大により、トマトケチャップ、パスタソースなどの調味料市場が拡大傾向にある。現地では米・ハインツや英蘭・ユニリーバなどが家庭用食品で先行している。カゴメは「今後、トマト調味料の需要はますます高まる」としており、新会社は2016年に約7億円を投じてロンソン社の工場に隣接した2万㎡の敷地に新工場を建設する。そこで生産するハラル認証のトマトソースなどの業務用商品を輸出を含めアセアン諸国の大手外食チェーン向けに販売する計画だ。2017年の生産量は約5000万トンで、単年6億円の売上を目指す。
日本国内の食品メーカーは、国内需要の頭打ち傾向から、販売先としてアセアン諸国をターゲットにする例が多い。が、そこには聖典コーランによって厳しく定められるハラルに厳格に従うという高いハードルが存在する。そのためマレーシア政府は認証機関「JAKIM(ジャキム)を創設し、国策としてハラル認証制度に取り組んでいる。カゴメが同国に新会社を設立したことの意味は大きい。(編集担当:吉田恒)