【日経平均】日中142円上昇し権利落ちを144円安でしのぐ

2014年09月26日 20:11

 ジャパンディスプレイ(JDI)<6740>はクレディスイスがレーティングを引き下げ売買高15位ながら63円安で値下がり率2位。3月の上場以降、業績見通し大幅下方修正、4~6月期の赤字決算など「ろくなことがない半年間」でアナリストの心証は非常に悪い。良いニュースはなかなか信用されず、ささいなバッドニュースがあると先入観で「ほらほらまた」とオーバーに反応される。そんな心理を「確証バイアス」と言う。最近好調の村田製作所<6981>は売買代金13位に入り210円高で3日続伸し年初来高値更新。最新ロボット「村田製作所チアリーディング部」を開発と発表したが、実は同社4代目の「ゆるキャラロボ」。10人編成でロボットなので呼吸はしないが息の合ったダンス・コンビネーションを披露する制御の技の細かさがウケた? 〃彼女〃たちは10月の「CEATEC JAPAN」でステージデビューする。同じ京都の日本電産<6594>も54円高で年初来高値更新と逆行高していた。

 電子部品卸売のダイトエレクトロン<7609>は41円高で年初来高値を更新し値上がり率4位。またまた「株式新聞の1面注目株」。こう何度も繰り返されると掲載銘柄のその後のパフォーマンスを検証したくなる。オービック<4684>は4~9月中間期の営業利益が120億円で過去最高の業績観測で年初来高値を更新しながら終値は15円安。関西電力<9503>は伊藤忠<8001>グループと共同で2017年までに仙台市に、首都圏に電力を供給するための石炭火力発電所を建設すると報じられ2円高。伊藤忠商事は43.5円安。電力自由化が進めばそのうち地域別の社名も意味をなさなくなるかもしれない。

 第一三共<4568>は76.8円安で値下がり率13位。水産大手の極洋<1301>は、日本配合飼料と共同でマグロの完全養殖に参入して2017年から年間200トン出荷を目指すと伝えられ6円高だった。

 ニトリHD<9843>は3~8月中間期の純利益が24%増で3年連続過去最高。300円高で年初来高値を更新し値上がり率14位に入った。通期見通しは据え置き。宝飾品小売のヨンドシーHD<8008>も3~8月中間期の営業利益が16%増で過去最高で13円高。ドラッグストアのCFSコーポレーション<8229>は通期の営業利益が29%増の30億円程度、純利益が2.9倍の12億円前後という業績観測報道を好感され42円高で年初来高値を更新し値上がり率5位だった。

 NSユナイテッド海運<9110>は4~9月中間期の純利益を上方修正し4円高。空運セクターのスカイマーク<9204>は10円高で値上がり率11位。ディフェンシブ系の代表オリエンタルランド<4661>はみずほ証券が目標株価を引き上げ310円高。この日に買っても株主優待で「ワンデーパスポート」がもらえるのは来年5月頃だが、株主優待狙いの多い銘柄は配当権利落ち日に押し目が狙えると思った個人投資家がいて、それが裏目に出たのだろうか?

 意外な逆行高だったのが不動産セクターで業種別騰落率が唯一のプラスになり第1位。牽引したのは売買代金12位で17円高の三菱地所<8802>、8円高の東急不動産HD<3289>、7円高の東京建物<8804>など。ダスキン<4665>は新型の置き型式掃除機の人気が盛り上がらず、4~9月中間期と通期の利益予想を下方修正し最終利益は減益。63円安で年初来安値を更新した。

 24日もそうだったが、主力銘柄が下げる日はテーマ物色が浮上する傾向がある。この日は9円高で値上がり率10位の蛇の目ミシン工業<6445>や、10円高の熊谷組<1861>、7円高の鉄建<1815>などの中小建設株、ゲーム関連銘柄が買われた。コロプラ<3668>は140円高。マーベラス<7844>は売買代金6位と買いを集め195円高で値上がり率1位。アップルのランキングで「剣と魔法のログレス」が3位に入ったのが材料。ヨーロッパ中世へのタイムトラベルは楽し?

 新興市場は日経ジャスダック平均は0.50%下落したが東証マザーズ指数は1.32%上昇。サイバーダイン<7779>は「ロボットスーツ」の大幅軽量化に成功と発表し240円高。中世の騎士のヨロイのように重くては困る。ミクシィ<2121>は410円高。訪問看護のNフィールド<6077>は1株を2株に分割すると発表し230円高だった。

 この日の主役は、ファーストリテイリングもソフトバンクもマイナスになる中で孤軍奮闘し、日経平均を下支えする役割を果たした「御三家」の一角ファナック。スマホなどIT向け需要の増加を見込んで前日大引け後、4~9月中間期と通期の業績見通しを上方修正した。通期の営業利益は2042億円を2680億円に大幅上方修正し、純利益見通しは67%増の1851億円。売買代金3位に入り805円高で3日続伸し値上がり率18位で、株価は上場来高値を更新し初の2万円の大台に乗った。みずほ証券が目標株価を引き上げたが、富士山麓の山梨県忍野村の本社には来日した海外のアナリストも続々と訪問していて、ゴールドマンサックスなどから好決算を期待するポジティブなレポートが出てきている。(編集担当:寺尾淳)