創薬や毒性試験、また再生医療などの研究開発機関向けに、ソニー<6758>は細胞の動きを可視化・定量化できる画像解析装置を開発し、12月より発売するとの発表を24日に行った。今回ソニーにより発表された画像解析装置の名称は「セルモーションイメージングシステム」で、心筋細胞や神経細胞の分析など、用途別に2機種開発された。これはソニーの医療事業強化の一環とみられている。
今回ソニーが発売を発表した「セルモーションイメージングシステム」は、これまで必要とされていた染色試薬や特別な培養皿が必要ないだけでなく、細胞の特徴を引き出すための前処理も必要なくなるという。これにより細胞に与えるダメージを減少させることができ、研究の効率を大幅に向上させることができるとしている。
まず12月に「セルモーションイメージングシステム」の「カルディオモデル」が発売され、こちらが主に心筋細胞や心筋組織の評価向けとして開発されており、創薬での活用を見込んでいる。価格は3000万円前後の予定。また2015年2月には、解像度を高め、主に神経細胞やがん細胞の動態変化などを定量評価向けに開発された「リサーチモデル」が発売され、価格は2000万円前後の予定。両機種ともにまずは日本にて発売し、今後は海外展開も視野に入れているという。
「セルモーションイメージングシステム」は、培養プレートなどを撮影した動画から細胞の動向を検出し、1枚1枚の静止画を区画にわけて、それぞれのフレームの映像のズレから細胞の動きを解析し、動きの速度などを可視化・定量化することができる。この技術には、テレビや家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)」にて採用されている基幹技術が応用されている。
ソニーはこれらの機種に、新薬候補を投与した際の細胞の動きの変化を確認したり、再生医療に使われる細胞の状態を確認するなどの用途を見込んでいる。また12年に、ソニーはブルーレイ技術を応用した細胞分析装置を発売しており、医療関連の分析装置としては今回が第2弾となる。(編集担当:滝川幸平)