2006年に米ゼネラル・モーターズ(GM)が経営難に陥った時に資本提携を解消したいすゞ自動車<7202>だが、しかしその後も開発や生産面では協力関係を保ち続けていた。そうしたなか26日、いすゞ自動車は米ゼネラル・モーターズとピックアップトラックを共同開発することで正式合意したとの発表を行った。しかし、8年ぶりとなる資本提携は行わない方針で、ピックアップトラックのエンジンなど主要部品の共通化を進め、それによりコスト削減を実現し、東南アジア地域などの新興国で15年にも発売を開始する予定だ。
今回、いすゞ自動車と米ゼネラル・モーターズが共同で開発するピックアップトラックは、いすゞ自動車が世界の100ヶ国に輸出している1トン積みピックアップトラック「D-MAX(ディーマックス)」の後継車で、アメリカやカナダ以外の世界主要都市で発売される。
いすゞ自動車米ゼネラル・モーターズは13年1月にも覚書を結び、協議を進めていたという。これまでにもいすゞ自動車と米ゼネラル・モーターズは「D-MAX」やその前世代、前々世代の開発も共同で行っている。開発はいすゞ自動車が主体となって行い、米ゼネラル・モーターズと部品を共同購買することでコスト削減をはかる以外にも、いすゞ自動車がこれまでトラック開発により培った耐久性などのノウハウや、米ゼネラル・モーターズが乗用車に搭載させた安全技術など、それぞれが得意とする技術を採用させるという。
米ゼネラル・モーターズがいすゞ自動車の資本に参加したのは1971年のことで、最大で49%の出資を行った。しかしその後06年になると米ゼネラル・モーターズ経営難に陥り、資産売却の一環でいすゞ自動車の株も手放した。これにより、両社の資本提携は解消された。
そして今回、両社によってピックアップトラックの共同開発が発表されたわけだが、資本提携は行われないという。いすゞ自動車はこれまで推進し続けていた構造改革が効果を表し、14年3月期の海外トラック出荷台数は4年連続で過去最高を更新している。こうした状況から、再び米ゼネラル・モーターズからの出資を受ける必要はないと判断した模様だ。(編集担当:滝川幸平)