「高学歴ワーキングプア」の実態。博士の4割は不安定雇用

2013年07月31日 18:10

末は博士か大臣か、と言われた時代は終わった。今や博士課程を出ても、正規雇用に就けるのは半数あまり。

 文部科学省が昨年おこなった学校基本調査では、大学院博士課程を修了した者のうち、正規雇用の職を得ることができたのは52.5%と約半数。その他は「正規の職員でない者」が14.8%、「一時的な仕事」が5%、「進学も就職もしていない」が18.5%などとなった。博士の4割は不安定雇用なのだ。

 彼らは正規の職員のポストがないために、任期付の博士研究員=「ポストドクター(ポスドク)」として大学や研究機関に雇われる。その数年の任期のうちに、さまざまな研究プロジェクトに関わりつつ、学生の指導もしながら、正規雇用として雇ってもらえる大学を探さなければならない。

 専攻分野ごとの格差も明らかだ。工学系では「正規の職員等」が6割なのに対し、人文系では2割以下。人文系では「一時的な仕事に就いた者」および「進学も就職もしていない者」が6割を占める。2011年に文部科学省がおこなった「博士課程修了者の進路実態に関する調査研究」でも、「文系の場合、研究者になりたいと思って進学することが大半であり、周囲の状況からすぐに就職できるとは思っていないのではないか」といった大学側のコメントが聞かれた。博士の側にも何らかの意識変化が求められるのだろうか。

 とはいえこれだけ博士が増えた理由は、国が1991年から推し進めてきた「大学院重点化政策」にある。これからは専門的な知識を身につけた人材が求められるとして、大学院の定員を大幅に増やしたのだ。結果として博士の数も増加。一方、国の期待に反して企業や大学におけるポストは増えず、大量の「高学歴ワーキングプア」が生み出されることになった。博士課程修了者の年齢や高すぎる専門性が皮肉なことに、「年功序列とゼネラリスト志向」から抜け出せない日本企業に採用されるには足かせとなっている。

 国の政策によって生み出された大量の博士たち。高い専門性を身につけた彼らを人材として生かしきれていない今、政府や大学側は、「大学院重点化とは何だったのか」という問いに直面している。(編集担当:北条かや)