管理職に就けない中高年が増えている。9月12日のNHK NEWS Webによれば、企業で働く50歳以上の人のうち、課長や部長といった管理職に就いていない人の割合は55%と過半数を超え、過去最高となった。係長などの役職が全くない人も34%にのぼる(厚生労働省の発表)。管理職ではない中高年の割合は、この20年間で8ポイントも増加したという。2年前には『7割は課長にさえなれません』(城 繁幸著、PHP新書)という本が話題になったが、本当に3人に1人は係長にもなれない時代になったということだ。
年功序列システムが崩れ、能力主義による評価制度が普及してきたことで、若い頃のようにモチベーションを保ち続けられない中高年社員が増えている。ある調査では、「直属で年下の上司がいる」50代社員は74.5%にのぼり、50代になってから「仕事の新たなやりがいを見つけたことがない」という人は8割近くにのぼった(株式会社日本マンパワー「50代社員に関する調査」)。
50代社員の中には、長い間会社に貢献してきたという意識が強い人も多いだろう。だが彼らの考える「自分の能力」と、「人事担当者からの評価」にはギャップがある。たとえば仕事において「自分の強みや弱みを正しく把握できている」(あてはまる+少しあてはまる)と考える50代社員は64.6%と多数派であるのに対し、人事担当者からの評価は36.2%。30ポイント近いギャプがある。また「仕事のノウハウを、部下や後輩に対して伝えるようにしている」50代社員は52.4%であるのに対し、人事担当者からの評価は44%。こちらも10ポイント近くギャップがある。
調査では多くの企業が、50代の社員がきちんと後輩を育ててくれないこと、モチベーションが低下していることなどを課題としてあげていた。一方で、「50代以上の社員の活用を意識した評価制度」を導入している企業は21%に過ぎず、企業が中高年社員の能力を活かし切れていない実態が浮かび上がる。
これから10年も経てば、バブル世代や一部の団塊ジュニア世代も一斉に50代を迎える。彼らの能力をどう活用し、モチベーションを維持させられるか。企業の課題は山積している。(編集担当:北条かや)