国税庁の民間給与実態統計調査の結果で、2013年の民間企業で働く会社員やパート従業員の平均給与が413万6,000円となり、3年ぶりに増加したことが明らかとなった。男女別にみると、男性が511万円で前年比1.9%増。女性が272万円で前年に1.4%増となった。
国税庁の民間給与実態統計調査の結果で、2013年の民間企業で働く会社員やパート従業員の平均給与が413万6,000円となり、3年ぶりに増加したことが明らかとなった。男女別にみると、男性が511万円で前年比1.9%増。そして女性が272万円で前年に1.4%増となり、男女ともに給与金額が伸びた結果となった。
しかし同調査を、正規と非正規で分けてみると、正規社員が473万円で前年比1.2%増だったのに対し、非正規は168万円で前年比0.1%減。また、給与金額を階級別分布でみると、300万円以下の人が40.9%となり全体の4割を占める結果となった。
ただ給与所得者数が09年から一貫して増加し続けており、パートやアルバイトなどでも労働市場に参加する人材の数が増えていることも明らかとなっている。併せて03年以降、10年を除いて対前年度マイナスが続いていた賃金伸び率がプラスに転じるなど、景気回復が賃金にも及んでいる背景があると言われている。
一方で、厚生労働省が発表した8月の毎月勤労統計調査の速報値によると、現金給与総額の平均が27万4744円となり、前年同月比1.4%増えて6か月連続の伸びを示した。しかし、物価変動分を考慮した実質ベースの水準では、現金給与総額は2.6%減となる。物価の上昇に、賃金の伸びが追いついていない実態が浮き彫りとなった。インフレ率より所得の伸びが鈍れば、景気回復は実感しづらい。
13年、安倍首相が、内外情勢調査会の講演で、国民総所得を10年後に1人当たり150万円以上増やすとの目標を打ち出した。その後、「国民の1人当たりの所得を150万円増やす」という趣旨の発言をし、アベノミクスへの理解を求めようとした。しかし国民総所得は労働者の所得とイコールではない。当時、首相の発言が議論のすり替えであるとの非難があがった。
12月上旬に安倍首相は15年10月からの消費税率10%への引き上げを最終決断する予定だ。今こそ、調査データの良い面ばかりを喧伝するのではなく、実感の伴った景気回復が求められる。(編集担当:久保田雄城)