スマートフォンの普及で、空いた時間にはネット上の「手軽な情報」が求められるようになった。知りたい情報を簡潔に「まとめて」くれているキュレーションサイトの拡大は当然かもしれない。しかし、時には自分で正否を確かめることや、より深く知ろうとすることも大切だろう。
ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、既存のキュレーションサイトを買収し、自社事業として開始することを発表した。DeNAが買収したのは「iemo」と、MERYを運営する株式会社ペロリ。iemoはインテリアやリフォームの情報が中心で、MERYはファッションや美容、旅行といった女性向けカルチャーに特化している。
キュレーションサイトとは、登録したユーザーが自分の詳しい情報を独自に編集し、発信することができるサービスだ。発信する側のユーザーは、自分の専門知識や趣味、ビジネスやライフハックに使える知恵を提供し情報発信者として注目を集め、また広告料などを運営会社から得ることができる。読み手側のユーザーは豆知識や暇つぶし感覚とは言え、既存の雑誌やネットメディアとは一味違う、「普通の生活者やマニアックな趣味人」ならではの視点を楽しめることもあり、人気となっている。
最大手は、韓国随一のIT企業であるネイバーだ。「NAVERまとめ」の記事から、情報を集めている人も多いだろう。また、同社は「LINE」の親会社でもある。キュレーション市場は現在、「NAVERまとめ」一強状態だが、最近になりキュレーションサイト事業に進出する企業も増えてきている。
今回DeNAが買収した2つのサイトは、全体の情報量の多さ、幅広さでは「NAVERまとめ」には及ばないが、こうした専門的なキュレーションサイトは一定数の顧客ユーザーを掴むことができれば、独自性を打ち出せる可能性もある。それに、狙いはキュレーションサイト自体の収益よりも、そこで獲得したユーザーを経由した広告ビジネスだろう。これまでと違うネットユーザー層の取り込みの入口として、キュレーションサイト事業に魅力を感じている企業も多いのではないだろうか。
一方で、キュレーションサイトは、ネット上にあふれる情報のコラージュ的な要素もあるため、引用元や使用画像などの著作権問題や、情報の正否をめぐって問題視されている部分も大きい。キュレーション市場のシェアが拡大するに伴って、そうした課題への対策も必要だろう。自戒も込めて、くれぐれもまとめられた情報だけですべてを知った気にならないよう注意されたい。(編集担当:久保田雄城)