2012年7月の固定価格買取制度(FIT)開始以降、太陽光発電(を中心に再生可能エネルギーの普及が一層進んでいる。特に九州は、太陽光のFITによる設備認定量、及び既に発電中の設備量のいずれも全国の約1/4を占めており、他地域と比べても再エネが急速に普及拡大している地域だ。メガソーラでいえば、大分県、鹿児島県、熊本県をはじめ九州各地で建設ラッシュと言える状況だ。しかし、今回、その上昇機運に陰りがみえてきた。九州電力<9508>は24日、再生可能エネルギーの新たな契約を九州の全域で中断すると発表した。
同社は国産エネルギーの有効活用、並びに地球温暖化対策として優れた電源であることから再エネについては、水力、地熱などを積極的に開発するとともに、太陽光などの受入れを推進しており、合わせさらなる再エネの受入れ拡大に向けたスマートグリッド実証試験などの取り組みを行っている。2014年3月の1カ月間で、それまでの1年分の申込み量に相当する約7万件もの太陽光の接続契約申込みが集中したことから、内容の詳細を確認してきた。
その結果、7月末現在の申込み量が全て接続された場合、近い将来、太陽光・風力の接続量は約1260万kWにも達することが判明した。これらの全てが発電すると、冷暖房の使用が少ない春や秋の晴天時などには、昼間の消費電力を太陽光・風力による発電電力が上回り、電力の需要と供給のバランスが崩れる見通しだという。
こうした状況から、同社は昼間の揚水運転の実施や地域間連系線を活用した九州外への送電など、現状で可能な最大限の需給バランスの改善策により、九州本土において再エネをどこまで受け入れることができるかを見極める検討を行う方針だ。この間、既に再エネの申込みをしている事業者、及び今後新規申込みの事業者について、申込みに対する回答をしばらく保留する。ただし、家庭用の太陽光(10kW未満)などは、当面回答保留の対象外とする。(編集担当:慶尾六郎)