イオン91%減益で苦況 増税でスーパー事業伸び悩み

2014年10月19日 19:42

画・イオン91%減益で苦況 増税でスーパー事業伸び悩み

イオンの2015年2月期の8月中間連結決算は、最終利益が前年同期比91%減と大幅な減収となった。一方、競合相手先となるセブン&アイ・ホールディングスは過去最高を更新。4月の増税後、スーパーマーケット事業は苦戦を強いられている。

 流通大手のイオン<8267>が10月3日、2015年2月期の8月中間連結決算を発表し、最終益が20億円にとどまり、前年同期比91%減と大幅に落ち込んだことが分かった。新規の出店や連結子会社となったダイエー<8263>の営業収益は、15.1%増となって3兆4,315億円まで伸びたが、営業利益は41.2%減の433億円となり、厳しい状況に陥っている。

 4月に実施された消費税8%の増税が、総合スーパー事業(GMS)の不振に大きく影響した。GMS事業は3-5月期に38億円の営業赤字を出したが、その後も回復することができず3-8月期には131億円まで悪化した。不振の原因について若生信弥専務執行役員・グループ財務最高責任者は、消費増税や天候不順を挙げ、客足が遠のいていると述べた。原材料の値上がりやガソリン価格の上昇も遠因として影響を与えており、さらに競合店の出店数増加に伴い顧客の取り込みが難しくなっているとした。

 大幅減益となったもののイオンは、15年2月期の連結営業収益を前年比9.5%増の7兆円、営業利益を同約20%増の2,100億円という見通しで貫く方針だ。計画通りに進めるとすれば、下期の営業利益は1,500億円以上をあげなければならない。消費税増税や物価上昇を受けて消費が冷え込んでいるという逆境の中、目標を達成することは相当な困難が予想される。

 若生氏はGMSの客数を取り戻すためにもプライベートブランドの「トップバリュ」を強化し、取り扱い品目を増やすことを検討していると話した。また購買頻度の高い商品の値下げを実施し、ダイエーと共同セールを開催するなどして注目を集めていくとした。岡田元也社長・グループCEOは会見を開き、「消費増税後の戦い方が不十分だった」と反省を述べ、競合他社に打ち勝つための準備が不足しており、本部が状況に適した対応をとることができなかったことを認めた。

 対照的に、業績を伸ばしたのがセブン&アイ・ホールディングス<3382>だ。中間最終利益は839億円となり、過去最高を更新した。セブン-イレブンで展開している「セブンカフェ」が好調で、コンビニ事業が成長を支えている。流通大手トップ2社は明暗が分かれる形となった。(編集担当:久保田雄城)