人材を有効活用できるタレントマネジメントとは

2014年10月19日 12:55

 「タレントマネジメント」という概念は、近年日本でも注目されるようになってきたシステムだ。適材適所とはよく言われることだが、人材をどのように生かすかで企業活動の精度が高まる。アメリカやヨーロッパではすでに一般的に取り入れられており、国際競争が加速度を上げる一方の今日おいて、経済の変化に素早く対応できる会社の体制づくりに役立っている。

 タレントマネジメントは、人材をデータとして保有し、人事をシステム化して効率アップを図ることができる方法だ。人材の育成や後継者の選抜、組織編成や人員配置を戦略的に行うことができ、タレントマネジメントシステムを導入する会社は増加している。中外製薬<4519>は早くからタレントマネジメントを活用し、女性管理職の割合を倍増させることを目標に、積極的に人事処遇制度を改革してきた。この成果が認められ、9月25日、2014年度の「均等・両立推進企業表彰」で「均等推進企業部門 厚生労働大臣優良賞」と「ファミリー・フレンドリー企業部門 東京労働局長優良賞」を受賞した。

 一般的には社員の情報は、入社以降に配属された部署や異動情報などをエクセルで記録することが多いだろう。それに加えて、携わったプロジェクトの内容や営業成績などは別のデータとしてとりまとめられていることがほとんどだ。場合によっては仕事に関する社員の情報を人事課以外で管理しているということも。しかし、人材を多方面から適確に評価するには、社内で分散されているデータを一本化する必要がある。

 タレントマネジメントシステムを導入することにより、分散しがちな人材のデータを一本化して管理することができるようになる。これにより、社内人事を多角的な視野から動かしていくことができ、会社の「動力」として人材を運用していくことが可能となるのだ。

 しかし、会社が保有するデータをシステムに上手く移行させることができなければ、人事に反映させることが難しくなってしまう。重要なのは選択したシステムが会社の運用状況にマッチしているものなのかということだ。そして正確な情報を集めるためにはデータの提供が継続的に必要となり、個人やそれぞれの課・部署の協力が欠かせない。導入に際してはタレントマネジメントシステムの有用性を会社全体で理解することも必要だろう。(編集担当:久保田雄氏)