厚生労働省の発表で、2013年度の精神障害での労災認定の請求が1409件と過去最多を記録した。障害を引き起こしたきっかけとして「上司とのトラブル」が1位になり、職場環境の悪化が表面化している。先月、総務省が発表した6月の完全失業率は3.7%で雇用状況は改善が進んでいる。
厚生労働省の発表で、2013年度の精神障害での労災認定の請求が1409件と過去最多を記録した。障害を引き起こしたきっかけとして「上司とのトラブル」が1位になり、職場環境の悪化が表面化している。
先月、総務省が発表した6月の完全失業率は3.7%で雇用状況は改善が進んでいる。つまり転職しようと思えばできる状況である。それでは、なぜ会社に精神疾患になってまで居座り続けるのだろうか。ここで重要になってくるのが30代である。
全ての世代の中で申請数が最多である30代。彼らが就職活動をしていた時期、日本経済はバブル経済が崩壊し、「失われた20年」の中にあった。経済に勢いがなくなってITバブルも崩壊した後の00年には、新規大学卒業者の有効求人倍率がついに1倍を割って0.99%となり、就職氷河期という状況が深刻化した。つまり、現在35歳前後の人は就職氷河期に学生時代を過ごし、厳しい就職試験をクリアして入社してきているのだ。
一方で30代は企業の中で部下のマネジメントを任され、社内でも中心となり仕事を進めていく世代である。しかし、総人権費の抑制など非正規雇用の活用が進み、企業内の年齢構成のバランスが崩れた。その結果、円滑なコミュニケーションが阻害され、30代に仕事が集中するケースが多くあると言う。責任の範囲が増え仕事が忙しくなる一方、社内のコミュニケーションがなくなり社内で孤立していく。その結果、精神疾患にかかりやすくなっている実態があるのだ。
また35歳転職限界説というのがある。エン・ジャパン<4849>が今年の7月に発表した調査結果によれば、転職の際不安に思うことの1位に年齢がきた。転職市場では経験・実績よりも年齢が重要だという認識が定着していることを物語っている。
しかし今年の8月、同じ転職支援サービスのインテリジェンスが、30代を取り巻くまた別の事実が浮かび上がる調査結果を発表した。それによると、14年の1~6月の転職成功者の平均年齢が過去最高の31.7歳となり、35歳以上の成功者の割合も25%を初めて上回ったのだ。
うつ病になりやすい人の傾向として執着気質というのがある。裏を返せば粘り強いという利点になるのだが、現在の経済状況では決してプラスに働いていない。会社に執着することなく勇気を出して一歩踏み出すこと。また転職市場を柔軟なものに変えていくこと。それが会社で心を病む人を減らす一番の施策となるのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)