政府が秋に大型連休を作るべく動き出した。先月開かれた内閣府の「休み方改革ワーキンググループ」の初会合で、秋の連休を大型化することについての課題や方策が話し合われた。 観光業や鉄道、航空業界等はこの動きに好意的だ。
政府が秋に大型連休を作るべく動き出した。先月開かれた内閣府の「休み方改革ワーキンググループ」の初会合で、秋の連休を大型化することについての課題や方策が話し合われたのだ。
会議によると、秋の連休の大型化は新たな祝日を設定するのではなく、あくまでも有給休暇の取得により、飛び石になっている週末や祝日を繋げる形での実現を目指すということだ。
例えば2015年の9月は19・20日が土曜日と日曜日で、21日は敬老の日。そしてその翌日である22日は23日の秋分の日に挟まれているため規定により休日となる。つまり5連休だ。そして、この後二日間(24・25日)有給休暇を取得することができれば、再び週末が訪れるために合計で9連休となる。確かに9日も休みとなれば、海外のビーチ・リゾートに出かけても、たっぷりと楽しめるだろう。
観光業や鉄道、航空業界等はこの動きに好意的だ。また、地域経済活性化に繋げたい地方も、この動きを一つの契機として捉えている。
しかしその一方でこの政策に反対の意見や、現実的でないという声も多い。一体何故なのだろうか。
第一に、有給をそう簡単には取得できない人が多いという根本的な問題がある。有給休暇は労働者の持つ当然の権利だが、皆が一斉に休みをとるのは現実的にはかなり難しい。長時間労働を美徳とする日本独特の風土を持つ企業も多く、「正直、休み難い」というのが大部分の社会人の本音ではないだろうか。
その他、学校に通う子ども達を休ませるわけにはいかないので結局家族単位での休日にならないという意見や、サービス業に携わる人に関してはむしろ労働環境が悪化するのではないかという声もある。
たしかに日本人が働きすぎであることは間違いない。有給消化率は約39%に留まるうえ、そもそも有給休暇を全く取得していない人も17%存在する。これは他の先進各国と比べて際立って高い。
このような現状を打破するため、政府は有給取得率70%を目指し様々な施策を打ち出そうとしている。国民の生活をよりゆとりのある物とし、肉体的・精神的なストレスを軽減するのが目的だ。しかし休みが増えた分経済的に貧しくなるのでは意味がない。つまり、より効率的で生産性の高い社会を目指すこともセットで実現させなければならない。
休み方の改革とは即ち働き方の改革でもある。勤勉であることと非生産的であることは同じ意味ではない。日本が真に豊かな社会となるためには、政治・企業・個人がそれぞれ抜本的な改革を成し遂げる必要があるだろう。(編集担当:久保田雄城)