【今週の振返り】魔物がすむ10月は大騒ぎの週1122円高で終了

2014年11月01日 20:38

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羽田のエボラ出血熱騒動、日銀首脳の国会発言、FOMCに、TOPIXリバランス大引け劇場。最後は日銀ハロウィン緩和の大サプライズ。

 日経平均は円安を背景に42.59円高の15596.50円でスタートし、TOPIXもプラスで始まる。数分でザラ場では10月9日以来の15600円台を回復して高値を取りながら上昇。午前9時40分に15665円まで上昇した。為替のドル円は109円にタッチ。その後はおおむね日経平均は15630~15660円、TOPIXは1278~1280のレンジで上下動する。それが10時台も続き、上海市場、香港市場がマイナスで始まっても影響なし。安定ぶりに「FOMC無事通過」の安心感がにじむ。それでも上値追いできないのは翌日の経済指標ラッシュや日銀会合待ちや、前日に25日、75日の移動平均線を抜いて日足一目均衡表の厚い「雲」に突っ込んだこともありそうだ。11時台は少し下げ、前引けは15636円だった。

 安倍首相が衆議院予算委員会でGPIFの運用見直しに言及すると昼休み中に日経平均先物が上昇し、現物も後場15666円と高値を取って再開。午後0時42分に15682円まで上昇するが、後は15680円の手前で動かなくなる。1時台はおおむね15650~15670円の値動きが続く。2時台は先物主導で変化が生じ2時29分に15701円の高値をつけるが、10月9日以来の15700円台はタッチしただけ。

 終盤まで15680円近辺で推移したが、大引けで大きく下げる。9月に東証1部に指定替えになった14銘柄が31日にTOPIX構成銘柄に加わる「TOPIXインデックス買い」や、既存の構成銘柄も浮動株比率の変化などに応じてポジション調整がなされる「TOPIXリバランス」で、「大引け劇場」はTOPIXも日経平均も急落という幕引きだった。日経平均終値は104.29円高の15658.20円で続伸し10月7日以来の終値15600円台回復。日中値幅は117円だった。TOPIXは+8.26の1278.90で大引けで1280台ならず。売買高は27億株、売買代金は2兆7740億円で、やはり大引けで売買が積み上がっていた。

 プラスセクター上位は不動産、銀行、その他金融、電気・ガス、その他製品、電気機器など。プラスセクター下位はゴム製品、建設、卸売など。マイナスセクターは水産・農林、証券、ガラス・土石、食料品だった。

 30日のNYダウは221ドル高で17200ドルを上回る時間帯もあり9月24日以来の高値。NASDAQ総合指数は16ポイント上昇。注目の7~9月期実質GDPは3.5%増で市場予測の3.0%を大きく上回り景気不安も利上げ警戒感も後退。新規失業保険申請件数は市場予測を下回りブラジルの予想外の利上げの影響も限定的。31日朝方の為替レートはドル円は109円台前半、ユーロ円は137円台後半で前日よりドル高円安が進行していた。

 消費者物価指数(CPI)は9月全国が+3.0%で16ヵ月連続プラス、10月東京都区部が+2.5%でどちらもほぼ市場予測通りだが、消費増税分を除くと全国は+1.0%、東京都区部は+0.6%。9月の家計調査の2人以上世帯の実質消費支出は-5.6%で市場予測の-4.4%を下回り6ヵ月連続マイナス。9月の労働力調査は完全失業率が3.6%で8月から0.1ポイント悪化、有効求人倍率が1.09倍で0.01ポイント悪化で3年4ヵ月ぶりに低下した。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が国内株運用比率を25%に引き上げるニュース、安倍内閣が2~3兆円の補正予算編成を検討するというニュースが流れていた。

 日経平均は158.94円高の15817.14円で10月7日以来の15800円台を回復して始まる。TOPIXも同じ日以来の1290台でスタート。始値=安値の「寄り安」から活発な売買を伴って上昇し、午前9時40分頃に15900円突破。ザラ場中のタッチは10月7日以来。9時58分には15938円の高値をつける。TOPIXも1300寸前まで上昇した。NY株高、ドル円109円台の円安、GPIFと補正予算の政策ニュースに刺激された海外投資家主体の先物買い。上海も香港もプラスで始まりアジア市場は全面高。日経平均は15900円台をおおむね維持し、11時台は高値圏で推移して前引けは15921円だった。

 日銀会合の結果がまだ出ないまま、後場やや高く再開した直後に高値を取って上昇し午後0時40分に15958円まで上昇するが、日足一目均衡表の「雲」の上限15989円の手前で抑えられて折り返し1時台は15900円を割って推移していた。ところが、1時44分に日銀会合の結果が予想外の大型の追加金融緩和と伝わるやいなやウルトラサプライズ暴騰。「雲」も16000円も一気に突き抜け16300円台までロケット上昇し、1時47分に16357円の高値をつける。為替はドル円110円台、ユーロ円139円台に乗せる。2時を回ると第2波がきて、2時9分に9月25日の高値引けの年初来高値16374円を突破して半値戻しの翌日の「全値戻し」達成。1分後には16400円台に乗せて16455円まで上昇した。

 第3波は終盤で、GPIFが「国内株運用比率25%」を承認するとドル円レートは111円にタッチ。日経平均は2時48分に16500円を突破して16533円まで上昇し「アベノミクス相場最高値」をマークした。しかし3連休前はきつくなる利益確定売りの金曜日ゆえ大引けでさすがに売られて終値は今年最大幅の755.56円高、終値年初来高値16413.76円は2007年11月2日以来7年ぶりの水準。4勝1敗、24日の終値から1122円上昇して今週の取引を終えた。10月トータルは240円高。日中値幅は716円。しかしTOPIXは+54.74の1333.64で9月25日の高値引け1346.43に及ばなかった。売買高は40億株で2013年4月5日の空前の64億株は遠かったが、売買代金は4兆1982億円でその日の4兆8633億円に近づいていた。

 プラス上位セクターは不動産、その他金融、証券、倉庫、精密機器、保険など。プラス下位セクターはガラス・土石、海運、水産・農林、パルプ・紙、石油・石炭など。マイナスセクターは空運だった。(編集担当:寺尾淳)