原発5キロ圏内住民 30キロ圏外へ3時間以上

2014年11月03日 09:32

 能登半島地震に伴い石川県・北陸電力志賀原発2号機で原子炉すべての冷却機能が喪失されたとの想定による原子力総合防災訓練が政府と石川、富山の両県により、2日間の日程で2日始まった。総理官邸では安倍総理らが迅速な対応へチェックを行った。また原発から5キロ圏内の住民約4000人が30キロ圏外へ避難するのに要する時間は3時間から6時間とされた。

 訓練では原子力規制庁長官が事故状況を報告、次いで緊急事態宣言案、住民への避難や屋内退避指示案、公示案が提出され、これを受け総理は、記者会見により原子力緊急事態宣言を出した。「敷地外への放射性物質の漏えいは認められない」としたうえで、被害の拡大を未然に防止するためとして「原発から概ね5km圏内にある志賀町志加浦地区、堀松地区、上熊野地区、熊野地区、福浦地区、富来地区の住民は自治体の指示に従い、落ち着いて退避してください。また、自治体の指示に従って、安定ヨウ素剤の配布を受け服用してください」と発信。

 また「原発から概ね5kmから30km圏内の石川県志賀町、七尾市、輪島市、羽咋市、かほく市、宝達志水町、中能登町、穴水町、富山県氷見市の住民(約16万人)は屋内に退避してください。屋内退避をする地区名は私の会見後、自治体からも広報を速やかに行います」と呼びかけ。

 「政府としては直ちに原子力災害対策本部を官邸に、現地対策本部をオフサイトセンターに設置し、関係府省庁・関係機関が一体となって事態の早急な収束と国民の安全確保を最優先に全力で対処してまいります。事態の推移について、迅速に情報提供をしてまいります。国民の皆様には、テレビ、ラジオ、インターネットなどの情報に注意していただきますとともに、国や自治体の指示に従い、落ち着いて行動していただくようお願いします。以上です」と緊急事態の発生と直後の対処を伝えた。

 宣言後、すぐに菅義偉官房長官の進行により原子力災害対策本部会議を開催。対策本部長でもある安倍総理は「各大臣及び規制委員長においては連携して現地からの要請に直ちに、最大限対応して下さい。住民の避難を迅速・的確に実施する必要があるので、防衛大臣に対し、自衛隊の原子力災害派遣を要請します。政府は発電所の状況とともに周辺地域の放射線モニタリングのデータなどについても情報を速やかに提供いたします。北陸電力は原子炉への注水機能の回復に全力で対処してください。政府としても全面的にバックアップします」などと指示した。

 これを受け、各大臣が対応・対処を報告。対策本部の基本方針を決め、その内容を菅官房長官が記者会見で発表する前までを訓練した。また、地元住民らも自宅から公的施設への避難訓練を行った。(編集担当:森高龍二)