【日経平均】オバマ民主党完敗による円安を味方に74円高

2014年11月05日 20:22

 東京電力<9501>は売買高2位、売買代金3位と買われ、前場から大きく上昇し34円高で値上がり率9位。材料は原油価格の下落で燃料費の負担が軽くなる思惑だが、今年度の自社火力発電所の供給電力量に占める石油火力の比率は9%しかなく、8割を超える主力燃料のLNGも石炭も大部分は長期契約で調達するのでスポット価格の変動に影響されにくい。むしろ円安が進行すれば負担増になる。と言おうとこの日は中部電力<9502>、北陸電力<9505>や石油火力発電所がないJパワー<9513>まで年初来高値を更新し電気・ガスセクターは業種別騰落率第2位だった。燃料価格の低下で助かるのは電力会社よりは航空会社で空運セクターは業種別騰落率トップ。JAL<9201>は143円高、ANAHD<9202>は売買高11位に入り4.7円高でともに年初来高値を更新。スカイマーク<9204>も3円高だった。

 帝人<3401>は前場に4~9月期決算を発表。通期の最終損益を100億円の黒字から200億円の赤字に下方修正し本来なら大幅安になるところ、同時に発表したリストラ計画の中身が好感され売買高10位に入り22円高で年初来高値を更新し値上がり率11位。自社株買いでオフセット(相殺)するよりはるかに健康的。日産化学<4021>は1時に通期の売上高を1700億円から1710億円に、営業利益を235億円から241億円に上方修正。330万株、60億円上限の自社株買いを「好材料と同時に」発表し81円高で年初来高値を更新。旭化成<3407>は後場に4~9月期決算を発表し、通期の経常利益見通しを1510億円から前期比9.9%増の1570億円に上方修正。年間配当も17円から18円に増額修正して13.3円高。後発医薬品の東和薬品<4553>は4~9月中間期の利益予想を上方修正すると50円高で年初来高値を更新した。

 日本水産<1332>は1時に決算発表。4~9月中間期は増収増益で通期業績見通しは売上高も営業利益も純利益も上方修正。23円高で年初来高値を更新し値上がり率16位。水産・農林セクターを業種別騰落率第3位に押し上げた。伊藤忠商事<8001>は後場4~9月中間期決算を発表し純利益は1.1%増。通期営業利益見通しを3000億円から2800億円に下方修正したが18.5円高。長瀬産業<8012>は通期業績見通しを下方修正し104円安で値下がり率1位。食肉卸のスターゼン<8043>は通期営業利益見通しを22億円から29億円に上方修正し22円高。

 百貨店各社が10月の既存店売上高を発表した。0.4%減の高島屋<8233>は4円安、0.1%減の三越伊勢丹HD<3099>は8円安、1.8%減の大丸・松坂屋のJフロントリテイリング<3086>は9円安、1.5%減のそごう・西武のセブン&アイHD<3382>は60円高。1.5%増の阪神・阪急のH2Oリテイリング<8242>は1円高だった。20年前のバブル崩壊期のヒーローだった紳士服小売チェーンの青山商事<8219>は通期の純利益見通しを14%下方修正して16円安。

 日銀緩和で大幅高が続いた不動産セクターは一転、利益確定売りの嵐で業種別騰落率最下位。三井不動産<8801>は80.5円安、売買代金10位の三菱地所<8802>は133円安で値下がり率15位、住友不動産<8830>は70.5円安、東京建物<8804>は26円安、東急不動産HD<3289>は19円安。ケネディクス<4321>は売買高5位、売買代金6位で17円安だった。

 カジノ関連銘柄は、カジノ議連の岩屋毅幹事長が「IR関連法案」を臨時国会で「必ず前進させる」と力強く発言したと昼休みにブルームバーグが報じにわかに活気づいた。国会会期は30日まで。セガサミーHD<6460>は28円高、コナミ<9766>は11円高、日本金銭機械<6418>は82円高、オーイズミ<6428>は66円高で値上がり率14位、イチケン<1847>は40円高で同3位。テックファーム<3625>もストップ高の400円高。セコム<9735>は、4~9月中間期の経常利益が従来予想の585億円に対し前年同期比1割増の700億円で3年連続最高益という業績観測が出て42円高だった。

 新興市場は日経ジャスダック平均は1.08%上昇、東証マザーズ指数は2.83%上昇。直近IPO銘柄のオプティム<3694>はストップ高の5000円高。タカラバイオ<4974>は、iPSアカデミアジャパンとiPS細胞作製に関する特許を利用する特許実施許諾契約を締結したという材料があり46円高だった。

 この日の主役はソフトバンク。前日大引け直後に決算を発表し、通期の営業利益見通しを1兆円から9000億円に下方修正した。コスト増で子会社スプリントの利益見通しを下方修正したため。発表後たちまちネガティブ視され、前日3時15分まで取引があった大阪取引所の日経225先物の日中取引は16710円で引け、ナイトセッション(夜間取引)ではさらに下回った。ソフトバンクのADR(米国預託証券)は1%を超える下げを喫し、「日経平均寄与度御三家」の一角ゆえ東京市場での値動きに注目が集まった。株価は326円安で始まって低迷から抜け出せず、終盤に127円安まで下げ幅を圧縮したが終値は187円安で終日、日経平均の足を引っ張り続けた。(編集担当:寺尾淳)