【日経平均】好悪の材料も思惑も要人発言も交錯し195円高

2014年11月13日 20:15

 新日鐵住金<5401>は、2016年3月期に経常利益を今期通期見通しの4000億円の25%増の5000億円を目指すと明らかにし売買高8位で2.9円高。鋼材の堅調な需要で一定の利幅は確保できる見通しという。JXHD<5020>はJX日鉱日石エネルギーが12月に商用水素ステーション第1号店を神奈川県海老名市に開設と発表。今年度中に関東中心に11ヵ所開設する予定で7.6円高。WHOはエボラ出血熱の死者5160人、感染者数14098人と発表し感染拡大は衰えず。富士フイルムHD<4901>は売買代金9位で12円高だったが、一時は派手に買われた日本エアーテック<6291>は46円安で値下がり率18位。終値は10月16日のピークの3分の2。西アフリカより先に兜町では下火になっている。明治HD<2269>は大和証券が目標株価を引き上げ350円高で3日続伸し上場来高値更新。自民党の円安対策が好材料になる。

 格安スマホの販売台数が半年で倍増し国内で100万台を超えたが、12月に富士通製を発売するイオン<8267>は34.5円高。国内メーカー製は珍しい。スーパー業界大手に今年度の国内出店計画見直しが相次ぎ、イトーヨーカ堂が小型スーパー「食品館」の出店を大幅に抑制するセブン&アイHD<3382>は87円高で年初来高値更新。イオンは2015年度に開店させる大型ショッピングセンターを当初計画の10から5に半減させる。消費の伸び悩みと建設費の高騰のダブルパンチを受けての柔軟な計画変更が好感された。

 パートが店長になれる制度を導入するリンガーハット<8200>は17円高。時給25~50%増と月3万5000円の手当つきで小売・外食業界で労働問題になっている「名ばかり店長」ではない上に「かけもち店長」も減らす。アマゾンが13日から、ローソン<2651>、ファミリーマート<8028>に続きヤマトHD<9064>の集配所3000ヵ所で注文当日の夕方すぎに商品を受け取れるサービスを開始し、ヤマトHDは16.5円高で年初来高値更新。介護大手のニチイ学館<9792>は850万株、60億円上限の自社株買いを発表して75円高で値上がり率4位に入った。

 電通<4324>は前日に4~9月中間期決算を発表し、営業利益は24.3%減、経常利益は12.9%減、純利益は72.1%減。通期見通しは営業利益も経常利益も純利益も全て下方修正した。本来なら大幅安覚悟だが、年間配当予想を34円から40円に増額修正したこと、年内に総選挙があれば政党広告が期待できることで150円高。国政選挙は広告会社にとっておいしいビジネスチャンスで、博報堂DY<2433>は32円高、アサツーDK<9747>は94円高で3銘柄とも年初来高値更新。ネット広告のファンコミニケーション<2461>も87円高で値上がり率6位だった。

 ゲーム・コンテンツ関連ではコロプラ<3668>が前日に9月期本決算を発表。「黒猫」「白猫」が招きネコで売上高3.2倍、営業利益4.1倍、純利益4.1倍。2015年9月期見通しは売上高が30.7%増の700億円、営業利益が27.1%増の300億円、純利益が34.4%増の175億円で、期末一括配当予想は前期から4円増配し14円としたが、市場予測の営業利益370億円、純利益210億円を下回ったため売り攻勢。売買代金3位と売り込まれ440円安で値下がり率2位。ネコでもっと稼げるだろうという期待が重い。グリー<3632>は44円高で値上がり率15位だった。

 東証1部の大幅高を尻目に新興市場は日経ジャスダック平均は0.51%下落、東証マザーズ指数は1.47%下落。エナリス<6079>は14日発表予定だった第3四半期報告書の12月12日までの提出期限延長を申請し133円安。前期に計上した10.5億円分のディーゼル発電機の売上に関する疑義が理由だが、背景に何があるのか疑惑を呼んでいる。

 新規IPOが1件。開発したシステムが正しく動作するかどうかを確認するソフトウェアテスト事業を行うSHIFT<3697>が東証マザーズに新規上場したが初値がつかず、公開価格1300円の2.3倍の2990円の買い気配で終了。IT関連は安心して見ていられる。

 この日の主役は「電力会社」。4~9月期に2146億円の単独経常黒字を計上した東京電力<9501>は、2015年度は電気料金の再引き上げを行わずに経常黒字を見込んだ計画を取引金融機関に示したと報じられた。柏崎刈羽原発の再稼働時期は「2015年7月以降」に想定しているという。電気料金値上げについては含みを残したが、現状のままでも危機的とは言えない。売買高15位で4円高。八木誠社長が「原発再稼働がなければ電気料金値上げ」とコメントした関西電力<9503>は、運転開始から39年以上経過した福井県の高浜原発1、2号機の運転を20年程度延ばす方針を固め、年末に特別点検を行い2015年春にも原子力規制委員会に運転延長を申請すると報じられた。老朽原発を廃炉にせず再稼働させれば夏場の電力需給を安定させられるというが、原発は季節に関係なく運転する安定電源のはず。株価は24円高だった。
(編集担当:寺尾淳)