永田町が風雲急を告げている。安倍晋三首相がアジア太平洋経済協力会議(APEC)出席のため中国に外遊をしている最中に、急速に解散総選挙の機運が高まっている。11月11日には一部の委員会がストップするなど、本格的に選挙に備えた動きが始まった。
解散には毎回様々な名前が付けられてきた。森喜朗元総理の「日本は天皇を中心とした神の国」という発言に対する批判から解散に至った「神の国解散」、小泉純一郎元首相が郵政民営化関連法案に反対する陣営を「抵抗勢力」と呼び刺客候補を立てた「郵政解散」・・・今回の選挙は、名づけるならば「大義なき解散」だろう。当の候補者たちも争点の良くわからない、何を訴えるべきかがはっきりしない選挙だ。三党合意で決まっている来年10月に実施予定の消費税増税の先延ばしが解散の理由とされてもいるが、自民党内にも先延ばしに慎重な声があり、消費税を争点化することは難しそうだ。
自民党内からも今回の解散総選挙には疑問の声が上がっている。野田毅税制調査会長は「まともな考えでいけば、常識的に解散はない」と述べるとともに、「人間は間違うことがある。間違った判断を(首相が)されないと信じている」と語っている。さらに、村上誠一郎衆議院議員も「消費税再増税をやめて国民に信を問うのは言語道断。大義がない」と党の総務会で発言した。
この解散総選挙にかかる費用がいくらかかるかご存知だろうか。総選挙にかかる費用は、1回で600億円を超える。前回の2012年の衆議院選挙では、666億2100万円がかかっている。選挙というと、選挙カーの費用やポスターなどの広報物にお金がかかっているイメージがあるかもしれないが、一番費用がかかっているのは「選挙執行管理費」、つまりは事務費用だ。
本来であれば衆議院議員の任期は4年。4年に一回のはずが、今回は2年で解散となった。単純に考えて倍の選挙費用がかかることになる。「大義がない」選挙にそれだけの費用をかけられることについても、国民は良く考えて投票すべきだろう。(編集担当:久保田雄城)