今週、11月第3週(17~21日)は5日間の取引。22~24日は三連休で立候補予定者は選挙区に入りたいはずなので、衆議院の解散があるとすれば今週中がタイムリミット。走り出した流れを止めると政権の命取りになりかねない。それが永田町というもの。
世界の株式市場の休場は、17日はメキシコが「革命記念日」で休場。1910年勃発。終了時期は1917年、1920年、1940年など諸説ある。20日はブラジルが「黒人覚醒の日」で休場。1888年に奴隷制度が廃止されたのを記念する日。
国内の経済指標は何と言っても17日朝のGDP速報値が最大の注目。外交日程を終えて帰国した安倍首相がそれを見て「2015年10月の消費増税の先送り、衆議院の解散・総選挙」を決断すると言われているため。12月8日の二次速報値の発表まで待つと選挙が年を越してしまい、「12月総選挙」で走り出してしまった与党内からブーイングが起きて首相の求心力が低下する。18~19日の日銀会合は「10月31日でタマは撃ち尽くしたはず」と油断するのは禁物。追加で何か出てくることもある。20日の貿易収支も要チェック。
17日は7~9月期国内総生産(GDP)一次速報値、10月の首都圏・近畿圏マンション市場動向、19日は9月の全産業活動指数、景気動向指数の一致指数改定値、10月の全国百貨店売上高、訪日外国人数、20日は10月の貿易統計(貿易収支)、スーパー、コンビニ売上高、民生用電子機器の国内出荷実績、日本製半導体製造装置BBレシオ、21日は10月の電力需要実績、食品スーパー売上高が、それぞれ発表される。
17日は安倍首相が海外歴訪から帰国する。17~18日は消費税率の10%への引き上げをめぐる有識者の集中点検会合(第3回)。18~19日に日銀の金融政策決定会合が開かれる。19日の正午前後に結果が発表され、3時30分から黒田日銀総裁が記者会見を行う。ウルトラサプライズだった10月31日の発表内容に細かい手直しが加えられる可能性がないとは言えない。
主要企業の決算発表は19日の損害保険大手をもって3月期決算銘柄の4~9月中間期決算発表はフィナーレ。18日は日本マイクロニクス<6871>、CSSHD<2304>、19日は損保ジャパン日本興亜HD<8630>、MS&ADHD<8725>、東京海上HD<8766>、レッドプラネットジャパン<3350>、20日はタカショー<7590>が発表する。
新規IPOは今週はない。21日に北の達人<2930>が札幌証券取引所から東証2部へ市場変更になるが新規IPOとは言えない。11月はこのあと来週に2件あり、12月に入れば11日からIPOラッシュになる。
海外の経済指標は、17日のアメリカの鉱工業生産・設備稼働率、18日のドイツのZEW景況感指数、今まで何度も煮え湯を飲まされた20日の中国のHSBCのPMI、20日のアメリカの中古住宅販売が重要。
17日はユーロ圏の9月の貿易収支、アメリカの11月のNY連銀製造業景気指数、10月の鉱工業生産・設備稼働率、18日は英国の10月の消費者物価、ドイツの11月のZEW景況感指数、アメリカの10月の生産者物価指数(PPI)、11月のNAHB住宅市場指数、9月の対米証券投資、19日はアメリカの10月の住宅着工件数、建設許可件数、20日は中国の11月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)、フランス、ドイツ、ユーロ圏の11月の購買担当者景気指数(PMI)速報値、ユーロ圏の11月の消費者信頼感指数、英国の10月の小売売上高、アメリカの10月の消費者物価指数(CPI)、11月のフィラデルフィア連銀製造業景況感指数、10月の中古住宅販売件数、CB景気先行総合指数、北米半導体製造装置BBレシオが、それぞれ発表される。
17日は上海証券取引所、香港証券取引所の「相互乗り入れ(相互注文取り次ぎ)」の開始日。18~30日にロサンゼルス国際自動車ショーが開催される。19日は10月28、29日に開かれQE3を終了させたFOMCの議事録が公開される。
アメリカ主要企業の決算は、17日はアーバンアウトフィッターズ、18日はホーム・デポ、TJX、19日はターゲット、セールスフォースドットコム、20日はダラー・ツリー、ギャップが発表する予定。
前週の日経平均は政界の解散風に飛ばされて「デラシネ(根無し草)」と化してしまった。ボヘミアンな「孤高の鳥」であればまだ大気圏内にとどまり、自らの意志で飛んでいるが、デラシネとなるとそれはもはや、宇宙空間で故障して迷子になった宇宙船のようなもの。あらゆるものから切り離され、帰るあてもなく、ただ運命に身をゆだね、さすらうだけ。はたして小惑星探査機「はやぶさ」のように地球に帰還できるだろうか? それともこのまま異次元空間に「パラダイム・シフト」してしまうだろうのか?
株式市場で言うところのパラダイム・シフトとは、トレンドがそれ以前とは全く切り離された長期の上昇相場や下落相場に「相転移」してしまうこと。潮の満ち引きのような「上がれば下がる、下がれば上がる」が前提のテクニカル分析は無力化される。日経平均に「パラダイム・シフト」が起きた出来事と言えば2008年のリーマンショックが記憶に新しいが、上昇したほうは20年以上前のバブルの時代までさかのぼり、日経平均の過去の上昇幅記録の1位から7位までは全て1987~1992年の間に記録されている。その頃、株式市場にアクセスする立場にあった人は現在、少なくとも50歳以上だろう。だから若手の個人投資家にとっては、株価上昇が続いて異次元へのパラダイム・シフトが起きるかもしれないという状況は、全く未知の世界なのではないだろうか。