50年後も人口1億人、GDP2%維持は可能か?

2014年11月17日 09:03

 子供を産まない若い夫婦が増えているという。あるいは、出産する時期が以前よりも遅くなっているという。そのことは、筆者の身の周りにいる知り合いの夫婦たちからも、そして筆者自身からも感じられることである。確かに自分の親たちの時代であれば子供を産んでいたであろう年齢になっても子供を産まない夫婦が多い。筆者もそれにあてはまる。そのこと自体の是非についてここで問うことは適切ではないだろうし、また筆者自身が子供を産まない理由や考えについてもあまりに個人的なことなので、ここで説明することは控えさせて頂きたい。

 ただ、そうして出産率が下がることはこの国の未来を明るいものにしないことは間違いないだろう。そのことを憂う権利は(子供を持とうとしない)筆者にはないのかもしれないが、しかしそれでも「自分が子供を持たないことによって、招くかもしれない未来」については目をそらすことなく、認識し続ける必要があると思っている。その程度の責任感は持ち続けるべきではないだろうかと、そう思っている。あくまで、個人的に。

 14日、政府が経済財政諮問会議の下に設置した専門調査会「選択する未来」委員会(会長・三村明夫日本商工会議所会頭)は、国内総生産(GDP)1.5~2%の経済成長と人口1億人を維持するとの目標を盛り込んだ報告書を発表。それによれば9割の若者が結婚し2人超の子供を育てるという状況が実現すれば、50年後の人口は1億人程度で推移し、その後も人口減少は収まると推計されている。そしてこうした状況を実現するために、2020年までに少子化対策を強化し、20年代初めまでに0~14歳までの年少人口の減少に歯止めをかけるとの取り組みも示した。

 こうして文面だけを追っていると、先行きは明るいかのような錯覚を覚えてしまうが、しかしあくまで「9割の若者が結婚し2人超の子供を育てるという状況」が実現すれば、の話である。こうした状況がすぐに実現するとはやはり考えにくい。そして報告書には、今のまま少子高齢化が進行すれば、50年後には人口が約8700万人にまで減少するとの指摘も行われている。

 むやみに不安をあおる必要はないのかもしれないが、しかし「子供を産まない若い夫婦」の1人として、今がどういう状況であり、またその「今」がどういう「未来」を招く可能性があるのか、決して楽観視することなく見つめ続けたいと思う。(編集担当:滝川幸平)