国や都市名を表すドメインは、「国別コードトップレベルドメイン」といい、基本的にはその国や地域に所在する個人や団体しか取得することができない。だが、これを、外貨を稼ぐ手段としている国もあり、登録における様々なニュースがこれまでも生まれてきた。
11月12日、インターリンクは新ドメインの一般登録受付を開始したと発表した。今回受付が開始されたのは「.scot」、「.capetown」、「.durban」、「.joburg」の4つのドメインだ。「.scot」はスコットランド、「.capetown」はケープタウン(南アフリカの首都)、「.durban」はダーバン(南アフリカ)、「.joburg」はヨハネスバーグ(ヨハネスブルグ、南アフリカ)、それぞれの国や都市名を表すドメインだ。新ドメインの登録料金は5400円~6480円で、日本の国別ドメイン「.jp」が1000円前後であることを考えると割高だが、自分たちのウェブサイトの特性を表現するため、登録者は必ず現れるだろう。
国や都市名を表すドメインは、正式には「国別コードトップレベルドメイン」といい、基本的にはその国や地域に所在する個人や団体しか取得することができないものだ。しかし、この国別ドメインを、外貨を稼ぐ手段としている国もあり、登録における様々なニュースがこれまでも生まれてきた。例えば、詐欺として社長が国際指名手配された近未来通信の子会社日本ニュードメイン社は、ネパールの国別ドメイン「.np」を「ドットニッポン」と読ませて販売しようとしたことがあった。実際には登録数はそれほど多くなかったというが、親会社の詐欺のニュースと相まって、「.np」は一時期大きな注目を集めた。おそらくネパールの人々は日本で自らの国別ドメインが注目を集めたことなど露ほども知らなかっただろう。
このドメインが一国の未来を決める結果になった例もある。南太平洋の小国ツバルは、自らの国別ドメインである「.tv」を販売して多額の利益を得た。アメリカ企業dotTVがツバルに支払うことに同意した使用料は10年間で合計5000万ドル(約50億円)。この使用料でツバルはなんと国連加盟を果たしてしまった。それまで支払うことができなかった国連の加盟金を支払うことができるようになったからだ。ツバルは国連の加盟金を払ってもまだ利益があったため、道路や電気網の整備、インターネット接続や医療従事者の確保まで行ったという。
普段余り気にせず使っている「.jp」という私たち日本の国別ドメインだが、ドメインが大きなニュースを巻き起こすこともあれば、社会を大きく変えることもある。そう思えば、見慣れた「.jp」も、少し違って見えるだろう。(編集担当:久保田雄城)