生態系への影響が懸念される『海洋の酸性化』が太平洋域で進行していることが分かったと26日、気象庁が発表した。
気象庁は観測船での観測データに国際的な二酸化炭素に係わる観測データを取り入れ、太平洋域での海洋酸性化に関する定期的な監視情報の提供を開始。今回、分析した結果、海洋酸性化指標の水素イオン濃度指数(pH)が1990年以降、約0.040(10年あたり0.016)低下していることが分かったという。
気象庁によると「海洋は大気から二酸化炭素(地球温暖化の主要な原因物質)を吸収してきたことから酸性化=水素イオン濃度指数(pH)の低下=が世界規模で進行し、もう一つの二酸化炭素問題と呼ばれる」状況になっているという。
説明では「海洋酸性化が進むと海水中の炭酸系の化学的な性質が変化して、海洋の二酸化炭素を吸収する能力が低下。この吸収能力が低下すると大気中に残る二酸化炭素の割合が増えるため地球温暖化が加速することが懸念される」とし、あわせて「海洋酸性化により植物プランクトン、動物プランクトン、サンゴ、貝類、甲殻類など海洋生物の成長や繁殖に影響が及び、海洋の生態系に大きな変化が起きる怖れがある」として、一層の二酸化炭素低減努力が求められている。(編集担当:森高龍二)