日本郵便コストがかさみ純損益386億円の赤字 

2014年11月29日 15:38

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日本郵便は人手不足による賃金上昇の影響を受け、人件費が前年同期から208億円増加し、1兆56億円にまで膨らんだ。純損益は386億円の赤字となり、前年同期の37億円の赤字から10倍もの損失額となった。

 日本郵政グループは11月14日、2015年3月期の中間決算を発表した。全体での経常収益(売上高)は7兆1,056億円で前年同期比マイナス5.7%、純利益は2,171億円で前年同期比マイナス1.2%となった。大きく足を引っ張ったのは郵便事業だ。日本郵便の経常収益は1兆3,251億円で前年同期比プラス0.7%となっているが、営業損益は365億円の赤字だ。営業損益のうち、郵便・物流事業が505億円の赤字を出しており、窓口業務が140億円の黒字となっている。前年同期と比べると郵便・物流事業はマイナス123億円、窓口業務はマイナス192億円で、業績は悪化している。

 日本郵便によると、郵便・物流の総取扱物数は全体的に減少傾向にある。11年3月期は99億3,900万通、12年3月期は96億2,200万通、13年3月期は96億7,700万通、14年3月期は96億4,000万通、15年3月期は95億3,500万通となっている。15年3月期のうちわけをみると、「郵便」が77億1,500万通でマイナス2.8%となっているが、3キログラムまでの冊子やCD・DVDなどを取り扱う「ゆうメール」は15億9,100万通でプラス5.7%、小包などの「ゆうパック」も2億3,000万個でプラス14.4%となった。インターネットが普及し、ネット通販の利用者が増加していることを受けて、ゆうパックやゆうメールの取扱い数は増えている。

 しかし人手不足の影響で賃金が上昇したことで、人件費が前年同期から208億円増加し、1兆56億円にまで膨らんだ。営業費用全体でみると、ゆうパックやEMS(国際スピード郵便)などの取扱物数の増加に伴う費用や、次世代情報端末に係る経費の増加などにより、前年同期比から418億円増加して、1兆3,526億円となった。この結果、純損益は386億円の赤字となり、前年同期の37億円の赤字から10倍もの損失額となった。

 日本郵政は現在、国が100%の株式を持っているが、15年秋には株式上場を予定している。ゆうちょ銀行とかんぽ生命の金融事業は黒字を出しているのに対し、郵便事業の赤字は大きな痛手となっている。郵便事業の体制を整え、コストをどう削減していくかが課題となりそうだ。(編集担当:久保田雄城)