日本エンタープライズ<4829>は、2015年5月期の売上高見通しを52.1億円から51.3億円に、営業利益見通しを23.9%増の4.15億円から34.3%減の2.2億円に大幅下方修正し56円安で値下がり率1位。ACESS<4813>は1月期通期の営業利益見通しを3億円の黒字から9億円の赤字に下方修正し44円安で年初来安値を更新した。建設用仮設足場の製造、販売、レンタルを手がけるアルインコ<5933>はこの日、東証1部に指定替えになったが47円安で値下がり率11位と家賃が高かった。11月28日に東証1部に指定替えになり10日続伸していた一正蒲鉾<2904>は月が変われば利益確定売りで57円安になり値下がり率8位になった。
化粧品業界に3つの話題。資生堂<4911>は中国での減収を問題視されゴールドマンサックスが目標株価を引き下げ8円安。傘下のカネボウ化粧品が前週末、和解に応じた「白斑問題」の被害者を対象に最大1人900万円前後の後遺症慰謝料相当の補償金を支払うことを決めたと発表して親会社の花王<4452>は44円高。すでに7500人以上と和解したという。ポーラオルビスHD<4927>は280円高で値上がり率13位。12月期の期末配当予想を特別配当分100円を増額して147円と発表した。中間配当と合わせると年間187円でEPS(1株当たり最終利益見通し)の170円を上回る。かつて「過剰配当は企業の成長の阻害要因」と盛んに批判されたのも今は昔。「株主還元」「ROE重視」の〃錦の御旗〃が向かうところ、敵はない。
飲料の伊藤園<2593>はこの日の大引け後に5~10月決算を発表したが、43%の営業減益という業績観測報道で先取りされて下げたものの挽回して4円高。セブン&アイHD<3382>は訪日外国人客のために東京・浅草や京都などのセブンイレブン約1000店舗を免税対応にするという話題で28.5円高。182円高で6日続伸、値上がり率3位になった居酒屋チェーンのエー・ピー・カンパニー<3175>を急騰させたのは前日のテレビ番組TBSの「がっちりマンデー」。宮崎県延岡市で未明に漁獲された魚が宮崎空港から空輸され、首都圏で展開する同社の鮮魚料理店チェーン「四十八漁場」で夜、「今朝獲れ鮮魚」として提供される様子が放送された。
南海電鉄<9044>は公募増資、金庫株を放出する売出しなどで263億円を調達すると発表し、発行済株式数がおよそ8.8%増加する希薄化を嫌気され44円安で値下がり率2位。空港近くにカジノ誘致の話もあったLCCの西の拠点の関西空港アクセス鉄道として、株価はこれまで好調だった。海運は、日本郵船<9101>が売買高8位で6円高で年初来高値更新、商船三井<9104>が売買高9位で値動きなし、川崎汽船<9107>は売買高7位で1円高で年初来高値更新、第一中央汽船<9132>は2円高。三菱UFJ証券が商船三井と川崎汽船のレーティングを下げたが、中・長期的な運賃の低落見通しよりも目先の燃料安のほうが材料としてはまさっていた。
サンリオ<8136>は中国・浙江省に「ハローキティパーク」が落成。1月1日に部分開業させると発表し90円高。エイチ・アイ・エス<9603>は2015年10月期にタイの店舗を前期末比で8割増やし、インドネシア、ベトナムでも5~6割増やして東南アジアの店舗網を拡充すると報じられ8円高。訪日旅行客を開拓し2020年までに海外売上高を2013年10月期の4倍の3500億円に伸ばす目標がある。ゴールドマンサックスは外国人客が多い長崎県の「ハウステンボス」の好調な業績を評価していた。本物のオランダよりもオランダらしいから人気がある。
ゲーム・コンテンツ関連で華々しく上昇したのがマーベラス<7844>で、売買高5位、売買代金1位に入り190円高で値上がり率1位。小・中学生向けパズルバトルゲーム機「V2」を18日に稼働させ、13、14日に無料先行体験会を開催すると発表した。この日は「映画の日」だが、後場に菅原文太さんが81歳で亡くなったという第一報が入り、代表作『仁義なき戦い』『トラック野郎』シリーズを製作・配給した東映<9605>はプラスに浮上して2円高。死せる大スター、映画会社の株価を上に走らすのは11月18日の高倉健さんの時と同じだった。
新興市場は、日経ジャスダック平均は0.63%上昇、東証マザーズ指数は0.14%下落。ミドリムシのユーグレナ<2931>は研究開発のテーマが内閣府の「戦略イノベーション創造プログラム(SIP)」に選定され70円高と大幅続伸した。2日にマザーズを卒業して3日から東証1部になる。
前週11月27日に新規上場して2日間、初値がつかなかったマザーズのCRI・ミドルウェア<3698>に9時13分、公開価格2400円の5.62倍の13500円の初値がついた。終値はストップ高の16500円で高値引け。初値が公開価格の5.62倍という数字は、2006年12月26日に上場したeBASE<3835>以来約8年ぶりの快記録。しかし、失礼ながらこの銘柄がいまだジャスダックにとどまっているのを見ると、派手なデビューをすればマーケットで一躍スターダムにのし上がる、とは限らないようだ。
この日の主役は業種別騰落率トップになった空運セクター。燃料安は増益要因なのは誰にでもわかる好材料。JAL<9201>は売買代金8位に入り145円高、ANAHD<9202>は売買高4位に入り11.6円高でともに年初来高値を更新したが、スカイマーク<9204>は国土交通省から待ったがかかってJALとの共同運航の認可申請を見送った。相手もはっきりせず11円安で値下がり率4位。再建をかけた提携の話が総選挙にぶつかったのが身の不幸なのだろうか?(編集担当:寺尾淳)