気象データを利用して商品需要を予測 精度を上げてコストとCO2削減

2014年12月02日 08:55

画・気象テ_ータを利用して商品需要を予測 精度を上け_てコストとCO2削減

日本気象協会は、食品メーカーや小売販売企業から提供を受けた商品流通情報「販売時点情報管理(POS)データ」を気象データと組み合わせて、どのように需要が変化するかを予測する新サービスを開発した。

 日本気象協会(東京)は、食品メーカーや小売販売企業から提供を受けた商品流通情報を気象データと組み合わせて、どのように需要が変化するかを予測する新サービスを開発した。

 食品業界では食品の廃棄や返品が大きな課題となっている。安心・安全な食品を提供する目的で設定されているのが消費期限と賞味期限の「食品期限」だが、それに加えてスーパーなど小売販売店では、「販売期限」を独自ルールとして設けているところもある。販売期限は消費者が賞味期限内に商品を使い切れるかどうかが目安となっており、食品期限の70%程度で設定される。たとえば賞味期限が1ヶ月の商品なら、期限10日前後を残して店頭から撤去され、メーカーへと返品されている。菓子類やレトルト食品、缶詰など、食品期限が1年と長いものでは、2~3ヶ月前に返品されてしまう。

 また、メーカー側の慣習として「納品期限」というものもある。納品期限とは出荷の際のルールで、賞味期限の3分の1を過ぎた商品は納品期限切れと判断され、未出荷のまま廃棄品となってしまう。流通過程上、商品が店頭に並び、消費者の手元に届くまで時間がかかることから、鮮度を守るために取り入れられている。メーカー側は小売店から発注を受けて商品を出荷するが、予測が不確かであるために大量の在庫を抱えてしまうケースが珍しくないのだ。

 こうした食品廃棄は、水や電気、ガスなどのエネルギーの無駄遣いにもなっており、過剰生産と廃棄の過程で二酸化炭素(CO2)を生じさせているという点も問題視されている。気象協会はCO2削減へ向けた取り組みとして、小売企業それぞれが有する「販売時点情報管理(POS)データ」を集めて、気象データを踏まえて解析する。

 POSは「どの商品がどのタイミングでいくらで売れたか」を知る手がかりとなる情報で、これまでは各企業が別々に集積し、需要の予測を立てていたが、気象協会による新サービスでは総合的な分析が可能となり、より精度の高い予測が可能となる。もはや大量生産・大量消費の時代ではない。資源削減や地球温暖化防止対策に向けて生産・消費の両面から、無駄を省いてコスト削減へ転換を図っていくことが必要だろう。(編集担当:久保田雄城)