クボタ<6326>は150億円を投資して日本、タイに農業機械の新しい研究開発拠点を設ける話題があり28.5円高で年初来高値更新。川崎重工業<7012>は生産に参画しているボーイングの次期大型機の生産コスト削減へ約250億円を投資すると報じられ売買高15位に入り14円高で年初来高値更新。ロボットで省力化し生産コストを15%減らす。航空機エンジンの補修事業にも参入してJAL<9201>などから受託し、2018年度の航空機輸送システムの売上高を13年度に比べ25%増の4800億円に伸ばす計画。ピジョン<7956>は中国での紙おむつの販売が計画を下回り、1月期通期の売上高見通しを下方修正したが、営業利益見通しは116億円から121億円に、純利益見通しは12%増の78億円に上方修正し、期末配当予想を45円から52円に引き上げた。しかし、業績に直結する売上は円安による為替差益が影響する利益より問題視され450円安で値下がり率1位。
地熱発電の適地の火山や温泉は景勝地で国立公園内にあることが多い。政府が地熱発電を推進するために国立公園内の規制を見直すと報じられ、関連銘柄の鉱研工業<6297>は9円高。建物の高さ制限13メートルまでという規制の例外にする。セントラル硝子<4044>は東海東京調査センターが新規に「1」のレーティングと470円の目標株価を設定し20円高で年初来高値更新。化学メーカーのテイカ<4027>は200万株分の自社株取得枠を設定して19円高。日本化学工業<4092>は売買高12位に入り30円高で年初来高値を更新し値上がり率2位だった。
WHOがエボラ出血熱の死者を下方修正したが、創薬支援のカイオム・バイオサイエンス<4583>はエボラウイルスの複数の抗体を特定してストップ高比例配分の300円高。抗体は抗体医薬品や検査薬の原料になる。臨床検査支援のアイロムHD<2372>はアメリカの国際組織と共同で国産初のエイズ予防ワクチンを開発し、副作用はなく人への安全性を確認したと発表しストップ高比例配分の500円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。2020年の製品化を目指す。80~90年代にマスメディアが今のエボラ出血熱の何百倍も騒ぎまくったエイズ(HIV)は今、国内の患者数は2万人を超えている。決して「すでに撲滅したなつかしい病気」ではない。塩野義製薬<4507>は200億円分のユーロ円建転換社債型新株予約権付社債(CB)の発行と1000万株、300億円上限の自社株買い実施を同時に発表し140円高で4日続伸し連日の上場来高値更新。CBで自社株買いを行う離れ技で、差額の100億円分が内部資金で自社株買いを行う株主還元と評価された。
JT<2914>はロシアのルーブル下落が悪材料で104円安で値下がり率16位。喫煙大国ロシアはJTにとってタバコの大のお得意様なので減収要因になる。伊藤園<2593>は茶葉も茶飲料も消費増税後の消費低迷、天候不順の影響で伸び悩み5~10月期の売上高は2%減、円安による原材料価格の上昇、広告費増で営業利益は43%減、純利益は47%減。4月期通期見通しの売上高を4555億円から4370億円に、営業利益を9%増の230億円から43%減の120億円に、純利益を8%増の131億円から49%減の62億円に大幅下方修正して3日ぶりに反落し56円安。それでも年間配当は1円増配し40円にする。
家電量販店チェーンのケーズHD<8282>は2015年3月期を含む5年間に240店舗以上を出店し、2019年3月期に今期予想6700億円の売上高を1兆円に乗せる成長戦略を発表し25円高。ファッションビルのパルコ<8251>は、デザイナーやゲーム製作者の事業アイデアを公開し、若い世代を中心に消費者から一口500円から資金を募る「クラウドファンディング」に乗り出し6円高。売場やパルコ劇場も提供し才能あるクリエイターを発掘して新商品開発につなげる。不動産仲介のセンチュリー21・ジャパン<8898>は12月31日時点の株主を対象に1対5の株式分割を実施すると発表して495円高で年初来高値を更新した。
ゲーム・コンテンツ関連では、恋活アプリ『Dear Life』を前日アップルストアでも配信開始と発表したエイチーム<3662>は390円高で値上がり率10位。照れないでフェイスブックでお互い「いいね!」しあえばカップル成立。マーベラス<7844>は16円高で売買高9位、売買代金3位に入っていた。
新興市場は日経ジャスダック平均は0.13%上昇、東証マザーズ指数は1.30%上昇。この日でマザーズを〃卒業〃するユーグレナ<2931>は4日続伸の15円高で別れを告げたが、前日3日目で初値がついた〃驚異の新入生〃CRI・ミドルウェア<3698>は、高値は3820円高まで上昇したが利益確定売りの洗礼を受けて終値は40円安だった。
この日の主役は業種別騰落率トップの鉱業セクターと第4位の石油・石炭セクター。NYの原油先物市場が5日ぶりに反発し、東京市場でも石油関連銘柄が見直し買いで息を吹き返した。国際石油開発帝石<1605>は5日ぶりに反発し39.5円高、石油資源開発<1662>は55円高、千代田化工建設<6366>は5日ぶりに反発し26円高、JXHD<5020>は売買高14位で6.9円高、出光興産<5019>は1円高、コスモ石油<5007>は1円安。前週末11月28日と比べると、市況産業の株価の浮沈がまざまざと浮かび上がる。(編集担当:寺尾淳)