なでしこ、重量挙げの次はモトクロス? 女子高生ライダーの挑戦

2014年12月06日 19:07

ヤマハ 女子モトクロ

全日本モトクロス選手権レディースクラスで活躍する本田七海選手。彼女の活躍の陰にはいつも、サポートしてくれる両親の姿がある。

 スポーツの世界では今、若手の女性の活躍が目立つ。オリンピックをはじめとする競技会でも、フィギュアスケートの浅田真央選手や、霊長類最強女子の異名を持つ吉田沙保里選手などの活躍が目立ち、さらにはサッカーのなでしこジャパンなど、これまで男性選手主体と思われていた競技でも、女性選手や女性チームの躍進が目覚しい。中には、女子重量挙げの美少女リフター・八木かなえ選手のように、その活躍がマスコミに注目されることで、これまで比較的地味な扱いを受けていた競技自体にスポットが当たるようになるケースも珍しくない。

 そんな中、次に注目を集めそうなのが、全日本モトクロス選手権レディースクラスで活躍する本田七海選手(大阪府/TEAM KOH-Z所属)だ。本田選手は、なんとまだ17歳の高校2年生。青春真っ只中にある彼女がモトクロスの世界に飛び込んだのは、中学3年生の頃。全国各地で開かれる全日本シリーズに全戦参戦し、2年目となる昨季はランキング8位を獲得した将来有望なライダーだ。

 女子高生ライダーの本田選手を支えているのは、家族。所属チームの厚いサポートもさることながら、父の克己さんと、母の知里さんが、常に彼女の傍で活動を支援している。マシンや装備の購入、メンテナンス、シリーズ戦を戦い抜くための遠征費用など、若干17歳の高校生一人でどうにかできるものではない。もちろん、これは本田選手だけでなく、ジュニアクラスやレディースクラスの選手の活躍の背景には必ず、親や家族の存在がある。とくに、モトクロスをはじめとするオフロードスポーツでは、家族単位でレースを楽しむ文化が定着しており、それが選手たちのモチベーションを保つ原動力にもなっているようだ。

 「自分の意思で選んだ道なのだから、できる限りのことは自分でやらせる」という父の方針に従って、練習の計画やレースに向けた準備、さらにはバイクの積み下ろしやタイヤの交換なども、すべて七海選手自身が行っている。その一方で、夜遅くまで整備を行っている本田選手の傍にはいつも、父の姿があるという。「モトクロスは我が家のコミュニケーションの中心」と克己さんが語るように、モトクロスを通して、本田家の絆は強く結ばれているようだ。本田選手自身も、「辛いことや嬉しいことを両親と一緒に分かち合えるモトクロスが、私は大好きです」と語っている。家族の絆が希薄になったといわれる昨今、世の子を持つ親たちの多くが羨ましく思う一言ではないだろうか。

 本田選手の当面の目標は、全日本で優勝し、両親とその喜びを分かち合うことだという。彼女の活躍次第では近い将来、日本にモトクロス女子ブームが訪れるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)