フリースケール・テクノロジ・フォーラム (FTF))は、組込みプロセッサーの世界的リーダーであるフリースケール・セミコンダクターが主宰・開催する業界最大規模のプライベート・イベントだ。台風18号による影響で、10月6日の「FTF Japan 2014」の開催は中止となったが、会場を新高輪プリンスに変えて12月4日にほぼ同規模のイベントを開催した。
そこでは最先端テクノロジーを解説するテクニカルセッションと、フリースケールおよびエコシステム・パートナー各社との技術交流の場として提供されるテクノロジー・ラボを組み合わせて開催し、毎年高い評価を得ているIT関連イベントだ。
2014年のメイン・テーマは「The IoT Experience」。Internet of Thingsの実現を牽引するフリースケールは、エッジ・ノード・デバイスからゲートウェイ、更にはクラウド・コンピューティング至るまでのエンド・ツー・エンドでソリューションを提供できる数少ない企業。今回のイベントでは、IoTを独自に「The Internet of Tomorrow」と読み換えてイベントを行なった。
その会場で行われたプレスカンファレンスで、米フリースケール副社長で2014年11月にフリースケール・ジャパンの新社長に就任したケンリック・ミラー(Kenric P. Miller)氏と米フリースケールの上席副社長兼セールス・アンド・マーケティング最高責任者(CSMO)ブランドン・トラニー(Brandon Tolany)氏が、日本市場における同社の方針、立ち位置などを語った。
トラニー氏によると、「現在、サンフランシスコで起こる交通渋滞の2割から3割は、駐車場を探すクルマが原因だ」という。これを解消するのがIoTを活用したスマートシティの構築や自動車と交通インフラの通信となる。また、「北米とEU圏で現在65歳以上の老人4000万人が独居生活を送っている」とも、この人たちの健康管理や生活見守りにもIoTが重要な役割を担う。いわゆる、スマートハウスが健康管理や防災に有効なのだ。
同時に同氏は、2020年には世界中の自動車のうち1億5200万台はインターネットに繋がったコネクテッド・ヴィークルと予想。同時にパソコンやタブレット端末、スマートフォンを除くデバイス、つまりIoTでネットに繋がる機器が280億に達するとみている。フリースケールは、ここに大きなビジネスチャンスを見込んでいるわけだ。
「なかでも日本には大きなチャンスがある。とにかく技術イノベーションには目を見張るモノがある。とくに自動車、エレクトロニクス関連、電機、鉄道など、今後IoTを推進するうえで日本は素晴らしい市場だ」とジャパン社長のミラー氏が続ける。
同社の日本での昨年の売上は、グローバルな数字の約10%弱だ。が、今年になってからの第3四半期までの数字は前年比143%と高い伸びを示している。
東京オリンピックが同社の言う「The Internet of Tomorrow」であるとしたら、日本市場の大きな成長は確かにありそうな気がしてくる。(編集担当:吉田恒)