今は原油価格が低いことで、ガソリンスタンドも利益を出しながら安く売ることも可能であろう。しかし、いずれ原油の高騰が起き低価格では提供できないスタンドが値上げに踏み切るときに、物価の上昇に伴う実質賃金の上昇がなければ消費者は苦しむばかり。
11月27日現在の実売レギュラー価格が148円30銭を記録した。7月の162円40銭と比べると14円も下落したことになる。ハイオクも軽油も同じように10円以上も価格が下がっている。
ガソリンスタンドなどの小売店舗では値下げ幅が少しずつ下がってきている傾向がある。国際的原油価格の下落を考えると微々たる値下げだが、店舗ごとに値下げ幅で利益を確保しようとする動きがあったようだ。
競争率の高い地域では価格競争により安い値段でガソリンを提供しているが、そうでない地域は値段を据え置き、来るべき原油価格高騰に備えて利益を蓄えているようである。しかしなぜ今ガソリン価格が下がっているのかというと、アメリカと中国の製造業低迷による世界需要の低下が主な原因の一つとも考えられるが、もう一つに国際的供給超過が理由に挙げられる。
本来原油は供給過多が起きた場合、減産を行って需給のバランスを保つのがセオリーであったが、それを先駆けるべきサウジアラビアが値下げを行ったのが発端である。これによって世界に原油が余り、他の原油価格も下げざるを得なくなり、競争能力のない小さな原油会社は市場から締め出される可能性まで出てきた。
減産を行わなかった理由としてアメリカで今話題のシェールガス革命が背景に考えられる。シェールガス革命とは石油や天然ガスの代替財ともなりうるシェールガスをアメリカ国土全域で採掘しだした動きのことである。100年分を超えるといわれる資源を採掘し始め、原油輸入量を抑え始めたアメリカに対し原油を減産してしまったら、シェアをアメリカに奪われてしまうと考えOPEC加盟国は価格を下げることによって対抗した。OPECが減産に踏み切らなかったことで原油価格はまだまだ下降するとの見方が強い。
今は原油価格が低いことで、ガソリンスタンドも利益を出しながら安く売ることも可能であろう。しかし、いずれ原油の高騰が起き低価格では提供できないスタンドが値上げに踏み切るときに、物価の上昇に伴う実質賃金の上昇がなければ消費者は苦しむばかりであろう。(編集担当:久保田雄城)