インターネット通販による消費規模拡大に伴い店頭受け取りサービスを開始する小売企業が増えている。リアル店舗を構える既存企業にとっては送料の無料化を実現し易く、顧客の足を店へと向かわせるきっかけにもなるからだ。消費者、企業双方にとってメリットの多い「店頭受取サービス」に対する各社の取り組み状況を見てみよう。
ダイエー<8263>は今年、ネットスーパーからの注文を店頭受取できるサービスを本格的に導入した。外出先から予め注文しておいた商品を、帰宅時にダイエーに立ち寄ることですぐに受け取ることができるというサービスだ。買い物カゴを持って店内を歩き回る必要が無く、代金も注文時に支払われているため忙しいビジネスパーソンには好評だという。今後は徐々にサービス取扱い店舗を増やし、2014年度中には25店舗で利用可能とする計画だ。
また、無印良品を運営する良品計画<7453>もネット通販のみを利用する顧客と実店舗との繋がりを強化すべく、店頭受取サービスに力を入れている。
無印良品のネットストアでは、注文した商品を実際の店舗で手にとって確認したうえで最終的な購入の判断ができるため、試着可能なネット通販として特に衣料品に関心の強い利用者から人気が高い。
同社によると、ネット通販のみの利用者を、実店舗の「常連客」に変化させるために店頭受取サービスは大きな武器になっているという。
その他、各分野に特化した商品を扱う専門店でも店頭受取サービスの波は広がっている。
全国に365の店舗を持つ自転車販売大手のあさひ<3333>はインターネット経由で注文された自転車本体及び関連商品を、最寄りの店舗で受け取ることのできるサービスを開始した。受取に指定された店舗では商品が到着するとスタッフによる乗り心地のチェックや防犯登録が行われる。訪れた顧客はその場で保険に加入することもでき、そのまま自転車に乗って帰ることも可能だ。インターネットで注文し直接自宅に送られてくる一般的な通販に比べ、アフターサービスが充実しており不安が少ないというメリットがある。
また、音楽CDやDVD販売大手のタワーレコードも「タワーレコードオンライン」から注文された商品をセブンイレブン<8183>で受け取れるサービスを行っている。音楽業界全体の経済規模が縮小する中、2年前に掲げられた年間利用件数50万という目標を2年連続で達成する勢いだ。
ライフスタイルの多様化に伴い商品の「受け取り方」にも様々なニーズが発生している。インターネット通販と実店舗の融合により、これからもたくさんのサービスが生み出されていくことだろう。(編集担当:久保田雄城)