自民単独300議席報道の波紋・・

2014年12月10日 07:19

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自民単独で300議席を超える勢い、3分の2(317議席)を占めるなど、各社マスコミの予測に、菅直人元総理は「驚愕の予想。もしそうなれば安倍総理に憲法改正の扉を開かせることになる。投票権のない子供が大人になったころに海外の戦争に駆り出される可能性が生まれる」と強い危機感を示した

 自民単独で300議席を超える勢い、3分の2(317議席)を占めるなど、各社マスコミの予測に、菅直人元総理は「驚愕の予想。もしそうなれば安倍総理に憲法改正の扉を開かせることになる。投票権のない子供が大人になったころに海外の戦争に駆り出される可能性が生まれる」と強い危機感を示した。

 菅前総理は「自民党の議席をこれ以上増やすと、国会が大政翼賛会になり、機能しなくなる恐れが出てくる。各小選挙区で自民党議席を一つでも減らす投票を呼び掛けて欲しい」と反自公勢力の巻き返しを呼びかけている。

 一方、菅義偉官房長官は9日、「政府として語るのは控えたい」と前置きしたうえで「私自身も候補者のひとり。評判が良ければ良いほど気を引き締めて選挙は戦わなければならないことは常識。結果は投票してもらってはじめて。自民党幹事長と選対委員長名で、そうしたことに惑わされずに、やるべきことはしっかりやるようにという事だった。国民の皆さんの審判に尽きる」と語った。

 日本共産党の機関紙は12月4日電子版で「自民党の改憲草案は憲法9条2項を削除し、『国防軍』保持と国民の国防の義務を明記した。徴兵制の根拠となるもの。改憲草案を準備するなかで2010年3月には『兵役義務』検討の必要を憲法『改正』の論点として出している」と伝えているほか、2011年の正論3月号で当時の稲田朋美自民党政調会長が「教育体験のような形で、若者全員に一度は自衛隊に触れてもらう制度はどうですか」と発言していることを紹介。

 また、石破茂地方創生担当大臣が2002年当時に「徴兵制が憲法違反であるということには、どうしても賛成しかねる」と発言。2002年5月23日の衆院憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会で「日本の国において、徴兵制は憲法違反だと言ってはばからない人がいますが、そんな議論は世界中どこにもないのだろうと私は思っています」と徴兵制に関する考えを明言している。

 当時の議事録で、石破大臣は「徴兵制をとる、とらないは別として、徴兵制は憲法違反。なぜですかと聞くと、意に反した奴隷的苦役だからだと。国を守ることが意に反した奴隷的な苦役だというような国は、私は、国家の名に値をしないのだろうと思っています」とし「少なくとも、日本以外のどの国に行っても、社会体制がどんなに違ったとしても、そのようなことは、あなた、本当に何を考えているのですか、そういう反応になるのだろうと思っています。徴兵制が憲法違反であるということには、私は、意に反した奴隷的な苦役だとは思いませんので、そのような議論にはどうしても賛成しかねるというふうに思っております」と述べている。

 一方、安倍晋三総理は昨年5月15日の参院予算委員会で「現行憲法において徴兵制は認められない」と断言。根拠について「犯罪による処罰の場合を除いて本人の意に反する苦役に服させられないとの条文(憲法18条)に反するものだと理解している」と民主党議員の質問に対して答弁した。

 安倍総理は答弁で「自民党の憲法改正草案でも「(何人も犯罪による処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられないという同じような条文があるとし)徴兵制は認められない」と語った。

 安倍総理は答弁で「何が自由や民主主義を担保しているかといえば、日本国という存在によって担保している。日本国そのものが危機に瀕したときには自由や民主主義や法の秩序を守るためにも(国民に)様々な協力をしていただく。しかし、それは兵役ではない」と危機に瀕しても徴兵制はとらない考えを明確に答えた。しかし、総裁と前幹事長の間で、あるいは総理と閣僚との間で、徴兵制に対する認識にこれだけの違いが存在していることだけは確か。(編集担当:森高龍二)