集団的自衛権の行使容認について、限定的に容認すると安倍政権が閣議決定したことを踏まえ、各党幹事長、書記局長らが7日のNHK番組で語った。
自民党の谷垣禎一幹事長は「日本周辺の安全保障環境が厳しくなってきていること、国際的にも自国だけで安全を守っていくことが難しくなってきている。武力行使に至らなくてもどうするのか対応を考えなくてはならないこともある。集団的自衛権があらゆるときに使えると決めたわけではない。3つの要件を決め、きわめて限定的にした。来年の通常国会できちっと議論して頂きたい」と語った。
民主党の枝野幸男幹事長は「この選挙で(安保法制の中身が分からない中で、集団的自衛権行使容認への閣議決定に対して)信任を下さいというのは無責任な姿勢だ。ほんとは選挙中に、こういうところまでいきますというところまでを示し、国民の信を問わなければいけない。サンゴ礁の問題はじめ領土領海の周辺で色んな問題が起こっている。個別的自衛権の範囲、あるいはその延長線上でやれることがほとんどだ。他国の戦争に協力するという今までの基準を大きく超える話は立憲主義からも、国民的大議論をしたうえで、どうしても必要なら憲法改正を発議し国民の信を問うべき」とした。
維新の党の江田憲司共同代表は「閣議決定が7月にされたが、その後、法律も出なければ、国会審議もろくにされていない。選挙が怖いから統一選挙後などと言わず、早く示すべき。ミサイルなど技術の伸展で個別的とか集団的とかの概念が変質してきた。ただ、法律でしっかり歯止めをかけることが大事だ」と述べた。
公明党の井上義久幹事長は「さきの閣議決定は武力行使の限界を示したもので、集団的自衛権の発動はあくまで自国防衛に限る。7月の閣議決定、その後の内閣法制局長官の国会での答弁に基づいた、切れ目のない安保法制を整備していく。なぜ必要なのか、安保法制の全体像について国会議論を通して国民的合意が非常に大事だと思っている。しっかり議論したい」とした。
次世代の党の山田宏幹事長は「日本の安全を高めるということで限定的に容認することに賛成している。領海を守るには自衛隊の艦船がもう少しスムーズに入れるようにしなければいけない。今は防衛大臣の命令で、総理の承認が必要になっている。サンゴ礁の問題も、ほんとにこれで大丈夫なのかと突き付けている問題だと思う。海上保安庁だけでは厳しいので、自衛隊の艦船が協力して領海に入るように我々は求めている」と語った。
共産党の山下芳生書記局長は「谷垣幹事長は、集団的自衛権の行使は極めて限定的と言ったが、2001年、2003年に自衛隊を派遣した際、戦闘地域に行かないとしていた歯止めが取り払われた。国会でも安倍総理は自衛隊が活動する場が戦闘状態になりうる。攻撃されれば武器を使用するとはっきり言っている」と集団安全保障(国連活動での後方支援)でも大きな変更になっていることを問題視。また「集団的自衛権の行使は米軍の戦争に自衛隊が肩を並べ戦争することになる。憲法9条の下では絶対できないと言ってきたことを閣議でできるようにした。立憲主義の否定であり、閣議決定の撤回、具体化中止を強く求める」とした。
生活の党の村上史好幹事長代理は「閣議決定は到底容認できない」と断言したうえで「立憲主義からみても、一内閣が憲法解釈の変更を勝手に行って、今までできなかった集団的自衛権行使を容認すれば、次の内閣でも都合が悪くなれば勝手に解釈することになる。そうすれば歯止めとなっていた憲法そのものが歯止めでなくなってしまう。極めて危険な方向に行っている」と提起した。
社会民主党の又市征治幹事長は「憲法前文で、政府の行為によってふたたび戦争の惨禍が起こらないように決意するといい、憲法9条を置き、戦争の放棄を決めてきた。集団的自衛権の行使は防衛力が必要最低限の限度を超えるから歴代政権は行使しないと決めてきた。少なくとも憲法改正が必要な問題を、勝手に閣議決定で行うという事は(認められない)」。「戦闘地域へ行って、攻撃されれば自分たちも攻撃する。人を殺し殺されるということが起こり得る。断じて容認する訳にいかない。閣議決定の撤回と憲法順守を求めていく」とした。
新党改革の荒井広幸代表は「原発事故は想定外を残し、安全対策を怠ったことが大きな原因でした。外交にも想定外を残してはなりません。しかし、限定的にする」とした。党のマニフェストで「徹底した平和外交努力を前提にして、あらゆる安全対策を講じ、国民の命や人権・くらしを守るために安全保障法制は必要。国民への説明と外国への配慮が大事。戦略的忍耐を持った外交努力で課題を解決するよう最大限努力する」としている。(編集担当:森高龍二)