厚生労働省は12月2日、10月の毎月勤労統計調査(速報)を発表。現金給与平均は一人当たり前年同月比0.5%増の26万7,935円だと分かった。しかし、物価上昇も合わせて算出した場合の実質賃金指数はマイナス2.8%という結果になった。
厚生労働省は12月2日、10月の毎月勤労統計調査(速報)を発表。従業員数5人以上の事業所で、労働者に支給された現金給与の平均が一人当たり26万7,935円だと分かった。前年同月比0.5%増で、過去8か月連続のプラスとなっている。しかし、物価上昇も合わせて算出した場合の実質賃金指数はマイナス2.8%という結果になった。賃金は若干増えたものの、生活費がかさみ、生活は苦しくなっているのではないのか。
10月の勤労統計の内訳をみると、基本給となる「所定内給与」が前年同月比0.4%増の24万2,370円だった。残業代となる「所定外給与」も前年同月比0.4%増となり、1万9,673円と若干上昇した。さらにボーナスや特別賞与などの「特別給与」は、前年同月比6.0%増と伸びて、5,892円となった。増税の影響もあったが、一部では業績を持ち直し始めた企業も出ており、賃金に反映されていると見受けられる。
しかし、生鮮食品を除いた10月の消費者物価指数は前年同月と比較して2.9%も上昇している。さらに円安による影響で資材や飼料、原材料などの輸入価格が高騰しており、定価の引き上げに踏み切った「値上げラッシュ」も追い打ちをかけるように続いている。
今年7月には雪印メグミルク<2270>が、乳製品などを約2~4%値上げすると発表し、日本ハム<2282>も原材料費高騰を受け、商品の量を約1割ほど減らすとした。低価格路線のカジュアル衣料品大手、ファーストリテイリング<9983>も原料費を価格転嫁するとして、8月から5%前後、ユニクロの商品の本体価格引き上げを行っている。
物価上昇が反映された実質賃金は、実に16か月連続で前年同月比マイナスとなっている。人手不足により雇用状況は改善しているが、景気の安定感は薄いままだ。衆院選を控え、自民党はアベノミクスを継続すれば実質賃金が上昇すると強調しているが、何一つ確証が得られない状態が続いている。(編集担当:久保田雄城)