アベノミクスを支える思想 トリクルダウンとは?

2014年12月10日 12:12

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総選挙が12月14日に行われる。安倍首相が言うように「アベノミクス選挙」らしい。アベノミクスとは、市場にお金を回すことで景気を下支えし、大胆な金融緩和で金利が下がり、民間需要を喚起する成長戦略で産業競争力を上げるというのがその骨子である。

 総選挙が12月14日に行われる。安倍首相が言うように「アベノミクス選挙」らしい。アベノミクスとは、市場にお金を回すことで景気を下支えし、大胆な金融緩和で金利が下がり、民間需要を喚起する成長戦略で産業競争力を上げるというのがその骨子であり、3本の矢と言われる政策で景気を図っていく。

 実際、デフレが脱却し、株価が上がり、円安になり、多くの大企業の収益が改善したことは事実である。しかし、国民の暮らしがよくなったのかは実感が持てない人が多い。朝日新聞の世論調査でも、成功より失敗との意見のほうが多数派になった。

 アベノミクスの理論を支える根拠であり、バブル崩壊以来、日本の経済政策の根拠となっているのが、「富める者が富むことで,貧しい者にも自然に富が浸透する、滴り落ちる(トリクルダウン)」というトリクルダウン仮説(理論)である。簡単に言うと、金持ちがお金を得て、消費をするようになると、そのお金が周りに回って貧乏人にもめぐってきて、貧乏人も豊かになるということだ。

 この理論、実証されているどころか、逆に世界的にも疑いの目を向けられている理論でもある。アメリカでは共和党以来の経済政策はトリクルダウンに基づいて行われたが、景気は回復せず、結果として富裕層を拡大させるだけに終わってしまった。政策としては失敗の烙印を押され、オバ大統領からも批判を受けている。

 実際、日本でも、企業はコストカットによって利益を積上げており、企業の利益剰余金は300兆円を超える水準となっている。しかし、雇用の拡大や賃金の上昇につながっていないのが現実だ。そのためアベノミクスも「家計から吸い上げたお金を企業にばらまく」「企業優先だ」という批判を受けてもいる。

 アベノミクスに対しての評価は選挙前の党首討論を見て、自分たちで考えるべきだろう。アベノミクスは一定の成功を得て、失敗続きの経済政策に置いて未来に光を与えた。他方、政権政党の支持層を肥えさせているだけとも批判を受けている。経済政策の根底にある考え方を政治家たちには議論してもらいたい。(編集担当:久保田雄城)