【今週の振返り】外部要因に翻弄されて548円下落したSQ週

2014年12月14日 01:19

画像・東証取引時間延長を検討 背後に利害闘争が見え隠れ

タッグを組む日銀のまさかのタッチ拒否で、18030円から987円もの脳天逆落とし。それでも押し目買いの返し技は健在。

 前週末5日のNYダウは58ドル高で史上最高値更新。NASDAQ総合指数は11ポイント上昇した。11月の雇用統計は非農業部門雇用者数が32.1万人増で、23万人増の市場予測を大幅に上回る2年10ヵ月ぶり大幅増のポジティブサプライズ。失業率は5.8%で10月から横ばい。平均時給も前月比0.4%増と市場予測を超える伸び。雇用統計発表直後にドル円は121円台に乗せ、8日朝方の為替レートはドル円は121円台前半、ユーロ円は149円台後半で、円安が進行していた。

 10月の貿易収支は7666億円の赤字で市場予測より悪く前月比で赤字拡大。経常収支は8334億円の4ヵ月連続の黒字で黒字幅は縮まったが市場予測は上回った。7~9月期の実質国内総生産(GDP)2次改定値はネガティブサプライズ。市場予測はマイナス0.5%でプラスの予測すらあったが、1次改定値の1.6%からマイナス1.9%に下方修正。GDPショックでドル円は一時的に円高に振れた。

 日経平均は84.21円高の18004.66円と2007年7月24日以来の18000円台に乗せて始まった。TOPIXもプラス。しかし18000円台は1分しかもたずに大台を割る。午前9時15分頃に18000円台に復帰して9時21分に18030円まで上昇するが、9時台後半は再び割り込む。10時前からあれよあれよと下落し10時4分にはマイナスに落ち、10時17分の17869円でようやく底を打つ。上海はマイナス、香港はプラスで始まる。日経平均はプラスになったりマイナスになったりしながら11時台はしっかりプラス浮上。「プラスのままでは日銀砲が撃たれない」と思えば、前引け間際、期待に応えるかのように下落するものの前引けは17921.29円で0.84円高。

 為替のドル円が円安方向に戻し、後場は17960円を超えて高く再開するものの18000円台には戻れず、前日終値と40円高の間を行ったり来たりと低迷。午後1時台後半にはまたマイナスに落ちる。2時に11月の景気ウォッチャー調査の結果が発表され、現状判断DIは41.5で10月から2.5ポイント低下し2ヵ月連続低下。50未満は4ヵ月続いている。先行き判断DIは44.0で10月から2.6ポイント低下。50未満は3ヵ月続いている。経済指標がさえず為替は少し円高方向。日経平均は2時台前半じりじり下落し17900円も割り込むが、終盤はプラスに浮上し、終値は15.19円高の17935.64円と小幅高ながら7日続伸し年初来高値を更新して終えた。日中値幅は161円。TOPIXは+1.91の1447.58で7日続伸し年初来高値を更新。売買高は21億株、売買代金は2兆4224億円だった。

 プラスセクター上位はゴム製品、非鉄金属、輸送用機器、パルプ・紙、食料品、サービスなど。マイナスセクター下位は鉱業、水産・農林、その他製品、保険、電気・ガス、陸運などだった。

 週明け8日のNYダウは106ドル安と大幅反落。NASDAQは40ポイント下落。日本の7~9月期GDPの下方修正、輸入がマイナスに転じた中国の貿易統計、市場予測を下回ったドイツの鉱工業生産指数など、世界の景気に不安を抱かせる経済指標が次々と出てきたため。一方で雇用統計の数値が良すぎてFRBの早期利上げ懸念も浮上した。9日朝方の為替レートはドル円120円台後半、ユーロ円148円台後半で、円高が進行。

 日経平均は115.40円安の17820.24円で始まる。TOPIXもマイナスでスタート。しかし、NYの株安、円高進行にもかかわらず、下げても午前9時4分の17801円どまりで17800円を割り込まない。日銀砲をプラスでも撃った効果が出ているらしい。GPIFという官製別働隊もいる。ドル円は一時121円にタッチし、日経平均は9時台のうちに17870円近辺まで上昇。10時台も17870円を軸に上下およそ20円幅で小動きした。香港はマイナスだが上海はプラスで始まる。上海総合指数は前日まで5日続伸し3年7ヵ月ぶりの高値圏。日経平均は順調に下げ幅を圧縮して11時4分に17892円まで上昇した。11時台は徐々に下げたが、前引けは17877円。

 後場はほぼ前引け水準で再開するが、為替のドル円が午後0時40分頃からいきなり円高方向に急進。日経平均も下げ足を早めて0時52分には17800円を割り込む。その主な原因は人民元の対ドル0.5%の急落。リスク回避のまとまった円買いが入りドル円は120円そこそこまで、ユーロ円は147円台後半まで円高が進行し、日経平均は1時17分に17777円まで下げる。SQ週の火曜日は過熱した中国のリスクに直撃された。1時48分には17773円をつけて安値更新。2時台に17830円台まで上昇するが、再び押し下げられて17800円割れし、利益確定売りが一気に噴き出したよう。だが、負け戦でも日銀は律儀に374億円の日銀砲を放った。終盤は17800円台に戻れそうで戻れない時間帯が続くが大引けでやっと乗せ、終値は122.26円安の17813.38円で8日ぶりの反落。3ケタ安は11月27日以来8営業日ぶり。日中値幅は119円。TOPIXも-11.49の1436.09で8日ぶり反落。売買高は21億株、売買代金は2兆3740億円だった。

 プラスセクターは食料品、電気・ガス、銀行、陸運。マイナスセクターで下落幅が小さいのは医薬品、空運など、下落幅が大きいのは証券、鉱業、精密機器、ガラス・土石、電気機器、機械など。

 9日のNYダウは51ドル安と続落。東京、上海が反落し、緊縮財政反対派優勢と伝えられたギリシャの大統領選挙の情勢を背景にヨーロッパ市場は軟調。午前に一時222ドル安まで下落したが、原油先物市場の反発などで午後には戻した。NASDAQはプラスに転じ25ポイント上昇。10日朝方の為替レートはドル円は119円台前半、ユーロ円は147円台後半で、円高の進行が止まらない。

 11月の工作機械受注は36.6%増と好調だったが、11月の国内企業物価指数は前月比0.2%減。10~12月期の法人企業景気予測調査は全体では5.0%増で、7~9月期の11.1%増から上昇幅圧縮。前日の上海総合指数が5.43%も大幅下落する中、「SQ週の水曜日」の日経平均は190.03円安の17623.35円で始まる。TOPIXも大幅下落でスタート。開始数分で17600円を割り込み午前9時5分に17556円まで下落。いったん17600円台に戻るがすぐ下落の第2波がきて9時40分に17518円で底を打つ。10時台は上昇しても17600円台は回復できないまま時間が経過する。10時30分に発表された11月の中国の消費者物価指数(CPI)は+1.4%で10月の+1.6%、市場予測の+1.6%より悪く、生産者物価指数(PPI)は-2.7%で市場予測の-2.4%よりも悪く33ヵ月連続マイナス。前日は人民元急落で午後から大崩れした中国市場は上海も香港もマイナスで始まる。日経平均は朝の円高進行が止まり円安方向に戻したので17500円台で上がったり下がったりを繰り返し、前引けは17530円で282円の大幅安。

 昼休みにドル円は再び円高方向に反転し先物は下落。後場は17500円を割り込み安値更新で再開する。午後1時20分頃までは17400円台を維持していたが、その後は17400円も割り込み安値を取る。ドル円は119円を割り込んだ。1時29分、前日時点の25日移動平均17350円のすぐ手前の17365円でいったん折り返すが、1時53分にはこのラインもあっさり割り17308円まで下げる。東京市場は小物の悪材料に過剰反応し、12日のメジャーSQをにらんだ先物の仕掛け売りも入る。2時発表の11月の消費者態度指数は1.2ポイント低下して37.7で4ヵ月連続悪化。基調判断も「弱い動きがみられる」に下方修正されていいところなし。日銀砲も撃たれなかった。それでも終盤は17400円台を回復し終値は400.80円安の17412.58円で大幅続落。日中値幅は350円もあった。TOPIXも-29.26の1406.83で大幅続落。売買高は25億株、売買代金は2兆8514億円。

 プラスセクターは鉱業、水産・農林。マイナスセクターで下落幅が小さいのは石油・石炭、電力・ガス、情報・通信、小売など。下落幅が大きいのはゴム製品、輸送用機器、化学工業、鉄鋼、機械、繊維など。

 10日のNYダウは268ドルの大幅安で3日続落。5日は18000ドル寸前まで達していたが一時17508ドルまで下落した。NASDAQも82ポイント下落。原因は「中国とギリシャ」だけではない。一時は「ガソリン安で個人消費が活発になる」と好材料視された原油安も60ドルそこそこまで下がると悪材料に変わる。石油産業は基幹産業で雇用者数も多い上に、期待のシェールガス・オイル開発の採算も不安視される。11日朝方の為替レートはドル円が117円台後半、ユーロ円が146円台後半で、ドル安円高が急進していた。