「G型」「L型」だけではない 文部科学省の推進する「スーパーグローバル大学」構想とは

2014年12月16日 12:34

画・「G型」「L型」だけではない。文部科学省の推進する「スーパーグローバル大学」構想とは

10月7日、文部科学省の有識者会議において経営コンサルタントの富山和彦氏が提案したものだ。「G型大学」とは世界で活躍できる「高度でグローバルなプロフェッショナル人材」の輩出を目的とした大学だ。

 「G型(グローバル)大学」「L型(ローカル)大学」についてはご存知だろうか。10月7日、文部科学省の有識者会議において経営コンサルタントの富山和彦氏が提案したものだ。「G型大学」とは世界で活躍できる「高度でグローバルなプロフェッショナル人材」の輩出を目的とした大学だ。一部では旧帝大と慶応大学のみが対象だという説もある。一方のL型大学は、地域に根差したサービス産業、具体的には小売、物流、公共交通、宿泊、外食等々の従事者を養成していくものだ。

 これに対して、ネット上などでは「事実上、偏差値トップ以外の大学を職業訓練校化するものではないか?」といった非難が巻き起こった。たしかにL型大学で学ぶべき内容として、経済学部は「簿記・会計・弥生ソフトの使い方」、法学部でも憲法、刑法は学ばず、「道交法、大型第二種免許、大型特殊第二種免許の取得」が目的となる。

 ところが、大学を「選別」しようという動きはこれが初めてではない。すでに文部科学省では「大学の国際競争力強化」の名のもと「スーパーグローバル大学」という構想が動いている。全国37校を「ス-パーグローバル大学」に指定し、その大学教育のグローバル化と、日本の大学の国際競争力の向上を進め、グローバルな舞台で活躍できる人材の育てることを目的にしている。各大学には2023年度まで1校当たり最高4億2,000万円の補助金が毎年支給される。

 37校は「トップ型」と「グローバル化牽引型」に分けられており、前者は世界大学ランキングのトップ100を狙う実力がある世界レベルの研究を行う大学、後者はこれまでの実績を基に、新たな取り組みに挑戦し、日本のグローバル化を牽引する大学という定義がなされている。トップ型に入っているのは旧帝大、東工大、筑波大、東京医科歯科大など、私立では早稲田・慶応だけだ。一方のグローバル牽引型大学に決まっているのは上位地方国公立大のほか上智、MARCH・関関同立といったレベルだが一橋、首都大学東京、同志社、中央、青学などはなぜか外れている。たしかにグローバルなレベルで仕事ができるビジネスパースンのニーズは確かに急激に高くなっているが、これまで以上に新卒労働市場において学生の価値が出身校で決まってしまう可能性もますます高くなっていくのは否定できない。(編集担当:久保田雄城)