日立建機は、今回の日産からの技術供与を受け、MOD付きアラウンドビューモニター技術を大規模な鉱山採掘現場等で使用する超大型ダンプトラックなどの建設機械に搭載し、販売する。大型ダンプの前にある日産製のミニバン、エルグランドと比較されたい。アラウンドビューモニターは建機のオペレーターのストレスを減らすか?
日産自動車は、クラリオンと共同で開発した移動物検知機能(Moving Object Detection/MOD) 付きアラウンドビューモニターの技術ライセンスを日立建機に供与すると発表した。
日産アラウンドビューモニターは、クルマを真上から見ているかのような映像によって、周囲の状況を知ることで、縦列駐車などを容易に行なうためのドライバー支援技術。クルマの真横や斜め後ろなど、クルマのまわりの死角や、見えにくい障害物を運転者に知らせるためのモニターだ。同システムは、4つのカメラが撮影した映像を処理し、あたかもクルマの真上にカメラがあるように映像を処理してモニター画面に表示する。クルマの周囲の状況をひと目で把握でき、駐車などの際にドライバーをフォローする。4つのカメラの映像信号を、映像処理ユニットに集め映像の処理を行ない、4つの画像を変換・合成することでトップビュー映像が生まれる。この画像処理技術がアラウンドビューモニターのポイントだ。
これらの技術は、日産自動車が2020年までに実用化を目指している自動運転につながるひとつの要素技術でもあり、ドライバーのストレス軽減にも繋がる技術だ。
また、MODは、アラウンドビューモニターの4つのカメラ映像から画像を認識することにより、クルマが止まっている際と発進する時にカメラが周辺の移動物を検知すると、画面表示と音声でドライバーに知らせる機能だ。日産は、2007年にアラウンドビューモニターを、2011年にMOD付アラウンドビューモニターを世界で初めて市販化した。
日立建機は、今回の日産からの技術供与を受ける事により、MOD付きアラウンドビューモニター技術を大規模な鉱山採掘現場等で使用する超大型ダンプトラックなどの建設機械に搭載し、販売することが可能となる。同技術により、建機のオペレーターは、自車の周囲で動く作業員や作業車両などをリアルタイムで把握することが可能となり、運転中の視認性や安全性を飛躍的に向上させることができる。
日産は、自社で開発した技術やノウハウなどを自社での利用のみにとどまらず、多くの分野で利用促進する取り組みにより、技術発展に寄与するとしており、これらの無形資産の有効活用によって得られる収入を、新たな技術開発に投資することで、自社の技術開発力を高めていくという。
今後、日産が目指す自動運転技術は、ドライバーをサポートすることで交通事故の低減を目指すために開発が進められている。今回の技術ライセンスの供与もこの一環であり、MOD付きアラウンドビューモニターの技術が、自動車業界のみならず、あらゆる移動機器に搭載されることで、安全性向上につながると日産が結論したことで実現した技術供与であろう。(編集担当:吉田恒)