自動車部品会社大手のタカタ<7312>がエアバッグ問題で揺れている。車の衝突時に膨らむエアバッグが破裂し、金属製の部品が飛び出る不具合で、ついには死者まで出る事態に。世界2位のシェアを誇っていたエアバッグは、ホンダ<7267>、トヨタ<7203>、日産<7201>をはじめ、クライスラー、フォード、フォルクスワーゲン、GMなど、世界中の自動車メーカーに装備されており、リコール(無償回収・修理)は総計で1,700万台にものぼる。2014年9月の中間連結決算では499億もの特別損失を計上したが、今後さらに加算されることが予想されている。
問題はエアバッグに充填するガスを発生させる装置「インフレーター」にある。温度・湿度管理の不備で圧力が異常にかかってしまい、インフレーターが破損して外に金属片が飛び散る。米国のジョージア州にあるタカタの工場で01年11月~03年11月の期間に製造されていたものが該当する。今年7月27日、マレーシアでホンダの「シティ」を運転していた女性が衝突事故を起こした際、エアバッグ不具合により金属片が体に刺さって死亡。この事故によってリコールとなったのは「シティ」、「ザッツ」「フィットアリア」に加え、海外の車種も対象となった。国内のリコール対象台数は7万797台で、海外分を合わせると17万台となる。
タカタの高田重久会長は10月27日、リコール問題についてコメントを発表。関係者に対して迷惑をかけたことについて謝罪し、原因を追求と再発防止に努めるとした。しかし、メディアの前に立って直接会見する機会を設けなかったことから、批判の声が上がっている。不具合発覚後からリコールまでの対応の不味さも相まって、問題は未だ収束の兆しが見えない。ついには米上院の商業科学運輸委員会が公聴会を開き、タカタとホンダを召喚するという事態にまでに発展した。
またニューヨーク・タイムズ紙は、タカタが検査技師に対し、不具合のあったエアバッグのテストデータの削除を指示していたと報道。これを受けて2人の米上院議員は司法省にタカタの刑事捜査を求めた。タカタはテスト結果の意図的な操作はしていないと反論している。事態は深刻さを増すばかりだ。(編集担当:久保田雄城)