テクニカルポジションも「今週がチャンス」と言えそうなデータを示してくれている。19日の終値17621円は、17413円の25日移動平均線、17101円の5日移動平均線、16385円の75日移動平均線、15461円の200日移動平均線を、全て見下ろす位置にまで値を戻している。上値抵抗線になるかと思われた25日移動平均線も、19日始値でマドを開けてあっさり突破してしまった。日足一目均衡表の「雲」は15986~16308円。今週は少し上に移動して、週を通じて16024~16570円という少し厚い雲になる。年が明ければ雲の位置はどんどん上に昇っていく。
ボリンジャーバンドは、25日線-1σの17105円と+1σの17720円の間の「ニュートラル・ゾーン」に19日終値17621円が位置している。上値を追いやすい条件はそれだけではない。25日移動平均線乖離率は+1.2%。5%の「買われすぎ」に達するのは18283円で、かなり上空にある。騰落レシオは19日時点で103.73。これは前々週末の12日の109.3よりも低く、「買われすぎ」のゾーンから遠ざかっている。ストキャスティクスも9日Fastが41.48で過熱感は全くない。
テクニカル的にみて、これだけ上値追いの好条件が揃ったら、今週の「18000円チャレンジ」が成功する確率は高くなりそうだ。ボリンジャーバンドの25日線+2σのラインが18028円にあり、それは年初来高値の18030円のすぐ下。そのあたりが上値のメドだろうか? アノマリー的にも昨年、一昨年同様に「掉尾の一振」「年末アノマリー」による上昇が期待でき、ロシアの通貨危機は前週でほぼ出尽くしたこと、26日の国内経済指標ラッシュ以外に大きな経済イベントがないこと、第三次安倍内閣は全員留任と言われ、補正予算の経済対策の中身の話がそろそろ小出しで出てきそうなこと、新規IPOも9件で前週の14件から減り、やや小粒なこと、先物売りを仕掛ける海外勢の多くがクリスマス休暇でお休み、今年分は25日が期限のNISA枠の駆け込み買いが入るなど、条件的には前週よりもいいはずだ。
それでも怖いのは「人の心」つまり投資家心理が弱気になることで、それを招きやすいのは突発的に起きる出来事である。一つは前週15日にもオーストラリアのシドニーで起きたイスラム過激派のテロで、もしクリスマスを狙い撃ちされたら、休場中の欧米市場ではなく開いている東京市場が直撃される。もう一つはクリスマスも休まない中国本土発の経済、政治のリスク要因。そんな事態を想定に入れても、下値のメドとしてやはり12月SQ値の17281円は捨てがたいポイント。それを譲っても、17105円のボリンジャーバンドの-1σあたりまでだろうか。
ということで、今週の日経平均の変動レンジは17280~18000円とみる。安倍内閣は26日に政権復帰2周年を迎えるが、30日の大納会で18000円台を確保して終わることができれば年間1700円を超える上昇で、2年目としては御の字だろう。1年目の日経平均上昇率が第1位だった池田勇人内閣は2年目はマイナス。第2位は現在の第二次安倍内閣。第3位の田中角栄内閣も2年目はマイナスだった。第4位の竹下登内閣は2年目の途中で退陣してしまった。(編集担当:寺尾淳)