伊藤忠商事<8001>は滝沢ハム<2293>の株式157.6万株を取得と発表。伊藤忠は20.5円高、ジャスダックの滝沢ハムはストップ高比例配分の80円高で年初来高値を更新した。燃料商社のミツウロコGHD<8131>は、アメリカ西海岸中心にチェーン展開するハンバーガーショップ「カールス・ジュニア」を、2015年秋から10年間で全国に150店舗出店すると報じられ43円高で値上がり率8位。「カールス・ジュニア」はバブル時代の1989年にフレンドリー<8209>がFCになり関西に6店舗を出店したが数年で撤退した経緯がある。ビッグサイズの思い切りアメリカンなハンバーガーで、25年前はダメでも今の日本人にはウケるとマーケットも評価? 低価格ラーメンのハイデイ日高<7611>は3~11月期の営業利益が10%増の32億円で過去最高を更新し30円高。出店抑制などコストカット効果が出た。カラオケ店「まねきねこ」を展開するコシダカHD<2157>は、イスラム教の「ハラル認証」に対応した料理を提供し礼拝所も設けたカラオケ店を出店すると報じられ41円高。イスラム圏からの訪日観光客の「インバウンド消費」を取り込む。
政府は北海道新幹線の新函館北斗-札幌間の開業を5年前倒しして2030年度、北陸新幹線の金沢-敦賀間の開業を3年前倒しして2022年度とすると報じられた。財源は5400億円必要で整備新幹線の建設費を2015年度予算で35億円前後増額する方向だが、JR九州の新規上場に伴う株式売却益の活用は見送り。JR西日本<9021>は48円安だった。スカイマーク<9204>は経営危機の発端になったエアバスA380のキャンセル問題で、エアバス社が英国で訴訟準備中と報じられ63円安で値下がり率1位。「大手2社が味方につくなら容赦はしない」ということか? そのJAL<9201>は65円安、ANAHD<9202>は0.6円安で、空運セクターは業種別騰落率最下位になった。
ゲーム・コンテンツ関連では、料理サイトのクックパッド<2193>が31日現在で100株以上保有する株主に「クックパッド」プレミアムサービス利用の1年間無料クーポン(3600円分相当)を贈呈すると発表し70円高で年初来高値更新。25日までに買い約定しないとこの株主優待は受けられない。新興市場は日経ジャスダック平均は0.07%下落、東証マザーズ指数は1.82%下落と不振。不適切な会計処理をめぐり社長交代を発表したエナリス<6079>は区切りがつき7日ぶりに反発してストップ高の80円高。新社長は社外取締役を務めるグーグル日本法人元社長の村上憲郎氏。ジャスダック上場の環境・建設コンサルタントのいであ<9768>は、26日の東証2部への市場変更を承認されたと発表し136円高で高値引けした。
新規IPOは2件。東証マザーズに求人サイトの運営、人材紹介、採用支援などを行うインターワークス<6032>が新規上場。公開価格1750円に対し9時29分、16.7%高い2043円の初値がついた。終値は1924円。東証マザーズに電力の小売、卸売、電源開発などの事業を営む新電力(PPS)のイーレックス<9517>が新規上場。公開価格1170円に対し9時23分、11.2%高い1301円の初値がついた。終値はストップ高の1601円と好調。ともに取引開始30分以内に初値がつき、それが公開価格から小幅高でも白星は白星。
この日の主役は石油関連銘柄。業種別騰落率では石油・石炭セクターがトップ、鉱業セクターが第2位に入った。20日に石油元売り国内第2位の出光興産<5019>が第5位の昭和シェル石油に対し、5000億円規模のTOBをかけて買収・子会社化するという第一報が流れた。年末に飛び出した「メガ・マージャー」の話題。昭和シェルの発行済株式数の35%を保有する筆頭株主は世界のスーパーメジャー6の一角ロイヤル・ダッチ・シェルだが、出光はその株式もTOBで買い付けるというから本気。石油元売りの再編は2010年に新日本石油と新日鉱HDが統合してJXHD<5020>が誕生して以来で、出光・昭和シェル連合の売上高は約8兆円で、JXHDの約12兆円の3分の2の規模。
出光興産は50円高。昭和シェルは9時27分まで値がつかず、始値は前日比+29.1%の1317円、終値は282円高の1302円で年初来高値を更新し値上がり率2位。売買高14位、売買代金7位。終値は前日比+27.6%で、「TOB価格に2~3割のプレミアムがつく」という話と符合していた。M&Aだけでなく原油先物市場の急反発にも刺激されて他の石油元売り各社、石油関連は軒並み高。JX日鉱日石エネルギーが2020年をめどに全国主要ガソリンスタンド2000ヵ所に順次、水素スタンドを導入し燃料電池車への水素供給体制を整えるというニュース、ベトナムに初の海外製油所をつくるニュースがあったJXHDは売買高6位になり29.1円高で値上がり率13位。アブダビ政府系の資本が入っているコスモ石油<5007>は売買高1位、売買代金5位になり30円高で値上がり率3位、エクソンモービルの日本法人を買収した東燃ゼネラル石油<5012>は59円高で年初来高値更新、富士石油<5017>は32円高で値上がり率7位、国際石油開発帝石<1605>は68円高。マーケットの習性で、業界再編話が出れば「次はどこか?」と噂が飛び交いながら、手当たり次第に先回り買いが入っていた。(編集担当:寺尾淳)